著者
川中 正雄
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.660-664, 1991-09-25
被引用文献数
7

試料の上下反転に際し, クラウン上面とアンダーカット部との加工には, CADデータベースの点分布構造を利用して冠外面形態データ(=今回はCADデータベースを使用)を最大豊隆部で上下2分割して使用した.初期加工時および試料反転時の位置決定は切削加工試料である直方体ワックスブロックの角部に工具先端を設定して行った.上面加工時の初期原点はワックスブロックの底面に, 反転時の原点は同一平面である反転後の試料上面に設定することによって, 反転に伴う高さ方向(Z方向)のデータ結合を可能にした.ただし, 反転後に使用するアンダーカット部データはCADデータベースの分割後, Z座標値を正負変換して使用しなければならない.X, ZY方向の位置合わせはワックスブロックの有する対面の並行性, 隣接面の垂直性を利用し, ワックスブロック左側前上方の角部に工具先端を近接させた状態で加工機の零点設定をした.また反転操作によってCADデータベースの座標系すなわち計測時座標系(=左手系)と加工機座標系(=右手系)とが鏡面対称となるため, 新たにY座標値にも正負変換を加えて鏡面体加工(ミラーイメージ)の発生を防いだ.工具は冠上面加工時と同一のボールエンドミルを使用し, 加工方法についても概形の円筒状加工の後に要求形状加工を行う多段階加工とした.アンダーカット部も冠外面の一部であるため, 工具オフセットに関しては咬合面部加工時と同一の考え方, すなわち冠表面の2本の接線ベクトルの外積を利用し, 表面よりも外側にオフセットを求めた.このように試料反転時の位置決め方法を確立することによって, X, Y, Z軸制御の3軸加工機を使用したクラウン外面加工に関し, 咬合面を中心とした冠上面の加工とアンダーカット部の加工との統合が図れ, 切削加工によって数値データからクラウン外面形態の再現が可能となった.さらに冠外面形態の上面の加工および支台歯の計測データを使用しての冠内面の加工との統合によってここに切削加工によるワックスクラウンの完成を見た.

言及状況

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