著者
齊藤 仁弘 大木 裕玄 臼井 伸行 笹尾 道昭 河西 宗一郎 西山 實
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.38-45, 1999-01-25 (Released:2018-04-06)
参考文献数
30
被引用文献数
1

寒天・アルジネート連合印象法に用いられる寒天印象材およびアルジネート印象材と,歯科用硬質石こうおよび超硬質石こうとの組み合わせから得られたそれぞれの石こう模型の細線再現性および表面粗さを測定し,それらの適合性について検討した.その結果,以下の事柄が明らかとなった. 寒天印象材との組み合わせについては,細線再現性および表面粗さの両者で評価Aとなったのは,硬質石こうでは24組中4組,超硬質石こうでは30組中0組であった.アルジネート印象材との組み合わせについては,20組中10組,超硬質石こうでは25組中2組であった。したがって,両印象材には,硬質石こうのほうが超硬質石こうよりも適合性が良好であった.また,寒天およびアルジネート印象材と石こう模型材とのそれぞれの適合性を比較すると,アルジネート印象材との組み合わせのほうが寒天印象材との組み合わせよりも適合性が良好であった.
著者
安斎 碕 小林 弘毅 吉橋 和江 中島 義雄 西山 實
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.90-100, 1997-03-25
被引用文献数
12

本研究は, フッ素徐放性の歯科材料の開発を目的としたもので, フッ素除放性のモノマー3種を合成し, 合成モノマーを分析した.モノマーの合成は, ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン(P_3N_3F_6)を用い, このフッ素の3〜5個をHEMAで置換して, 3種のP_3N_3(F)_<1-3>(EMA)_<5-3>を得た.IR, NMRおよび元素分析の結果, 目的物であった.3種のモノマーの屈折率は, 1.4662〜1.4718で, 粘度は1.3〜1.8Pa・sを示した.3種の合成モノマーをそれぞれMMAに30wt%配合し, これとPMMAとを混和し, 光重合してレジン重合体を作製した.フッ素徐放量および曲げ強さの測定は, レジンを水中に浸漬したのち, 経日的に測定した.レジン3種のフッ素徐放量は, 経日的に低下し, 水中浸漬1および360日で, それぞれ2.0〜3.3μg/mlおよび0.2〜0.8μg/mlを示した.レジン3種の曲げ強さは, 水中浸漬360日で74.0〜76.0MPaを示した.レジン3種のフッ素徐放量および曲げ強さの経日的変化は, 対照として用いた市販シーラントといずれも同じ傾向を示した.
著者
宮川 修 渡辺 孝一 大川 成剛 中野 周二 塩川 延洋 小林 正義 田村 久司
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.653-661, 1989-09-25
被引用文献数
1

ビトリファイドホィールで13%Crを含む歯科鋳造用Ni合金を能率良く研削するための研削方法と砥石構成要素を確立することを目的として, 被削材に送りを与えながら一定荷重で研削できるように前報の天秤型研削試験装置を改造し, これによって市販のホィール2種と砥石構成要素の異なる試作ホィール11種の研削性能を評価した.アルミナホィールは砥粒が一様に著しく摩滅した.少なくとも軟質のNi-Cr合金に対しては, カーボランダムホィールが有効である.ホィールを被削材に単に押しつける研削ではホィールの性能を十分発揮できない.ホィールの回転方向にハンドピースを動かしながら比較的大きな力で研削することが大切である.研削荷重が50と100gfでは試作カーボランダムホィールの研削性能は市販ホィールのそれと大同小異であったが, 150, 200gfに増すと, 結合剤が19%で粒度#150のカーボランダムホィールだけが市販ホィールの約2倍の性能を発揮した.安定した高い研削性能の持続はホィールの損耗による砥粒の新出のためと考えられる.
著者
宮川 修 渡辺 孝一 大川 成剛 中野 周二 塩川 延洋 小林 正義 田村 久司
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械. Special issue, 日本歯科理工学会学術講演会講演集 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.7, no.11, pp.187-188, 1988-03-31

砥粒の種類、粒度、および結合度を変えた各種のビトリファイドホィールを試作し、一定重で研削する天秤型の装置を用いてホイールの回転数24, 000rpmで1時間の連続乾式研削を行い、通法により鋳造した13%Cr-Ni合金に対する研削性能とその持続性を調べた。Ni合金の研削にアルミナホィールは不向きであるが、カーボランダムホィールの場合、ある程度の損耗は度外視して比較的大きな力で研削するならば、かなり良好な性能を発揮するホィールを得ることができた。この場合、被削材にホィールを単に押しつけるのではなく、被削材とホィールの間に相対的な動き(被削材の送り)を与えることが重要である。
著者
宮川 修 渡辺 孝一 大川 成剛 中野 周二 塩川 延洋 佐々木 俊道 田村 久司
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械. Special issue, 日本歯科理工学会学術講演会講演集 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.79-80, 1985-04-01

Ni-CrやCo-Crなどの非貴金属系合金の研削の困難さは以前からよく知られている。とくに、鋳造用Ni-Cr合金が保険に採用されたことから、この種の合金の研削能率の向上を急ぎはかる必要にせまられている。よって本研究は、難削性合金の研削に適した工具とその研削条件を検討することを目的とする。今回はまず、研削能率を評価するために試作した試験装置について述べるとともに、市販のビトリファイド系アルミナホィール2種とCBN電着ホィールについて試験した結果を報告する。
著者
齊藤 仁弘
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.328-343, 1991-05-25
被引用文献数
7

現在臨床で用いられているリン酸亜鉛セメント, グラスアイオノマーセメント, カルボキシレートセメントおよびアルミン酸セメント計14製品について, 0℃, 37℃および60℃の温度環境における熱拡散率, 比熱容量, 熱伝導率を非定常法のクセノン・フラッシュ法によって測定し, 検討した.また, 熱的性質とセメント粉末の成分および粒径との関係についても検討を行った.その結果, 次のことが判明した.セメントの熱拡散率は, 測定温度0℃において最大値を示し, 測定温度の上昇とともに減少した.比熱容量は, 測定温度60℃において最大値を示し, 測定温度の上昇とともに増加する傾向であった.熱伝導率は, 測定温度0℃において最大値を示し, 測定温度の上昇とともに減少した.セメント粉末中に含まれるZn, Mg, Al, Siの量が多いと, 熱拡散率および熱伝導率は大きくなり, 比熱容量は小さくなった.セメント粉末の粒径が小さいと, 熱拡散率と熱伝導率とが大きくなり, 比熱容量は小さくなった.
著者
小林 郁夫 土居 寿 高橋 正史 中野 毅 米山 隆之 浜中 人士
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.406-413, 1995-07-25
被引用文献数
20

外科用インプラント材として知られているTi-6Al-7Nb合金の歯科領域での臨床応用をはかるため, この合金の試験片を歯科鋳造法によって作製し, その鋳造性ならびに鋳造体の力学的性質を評価した.その結果, マグネシア系埋没材と遠心鋳造機を使用したときにもっとも良好な鋳造体が得られた.また引張試験の結果, Ti-6Al-7Nb合金は0.2%耐力, 最大引張強さではTi-6Al-4V合金にやや劣るものの, 破断伸びでは勝っており, およそ1.4倍の伸びを示すことがみいだされた.このときのTi-6Al-7Nb合金の組織は, 旧β相粒内に針状α相が微細に析出した組織を呈しており, この微細な二相組織がこの合金の強さを支えているものと考察された.以上の結果から, Ti-6Al-7Nbを従来どおりの歯科鋳造法によって利用することができると結論した.
著者
長谷川 義朗 高橋 洋子 日比野 靖 長沢 悠子 尾松 純 山賀 谷一郎 中嶌 裕
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.375-381, 2007-11-25
被引用文献数
4

試作セメントの透明度の違いによる上部材料への色調の影響を調べた.実験には5種類の酸化チタンの配合量を変えたセメントを用いて,上部材料にセラマージュを2種類と支台歯材料にダイカラーチェッカーを2種類使用した.測定はそれぞれの材料を重ね合わせ分光測色器にて行った.なお酸化チタンが無配合のものをコントロールとした.その後,得られた結果から色差を算出した.結果は,支台歯材料と上部材料がともに明るい,または暗いときセメントの透明性を変化させても色差に変化はほとんど見られなかった.しかしながら,支台歯材料が暗く上部材料が明るいとき,セメントの透明性が低下すると上部材料の色調に影響を与えた.上部材料の色調はセメント層の透明度だけでなく,支台歯材料の色調にも影響されることが推察された.
著者
木村 博 荘村 泰治
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.377-384, 1985-07-25
被引用文献数
3

前報でのべたTi基Ti-V-Fe-Al形状記憶合金の60〜90℃での形状回復率を高めるため, 組成の調整や熱処理を施した.まず, 溶体化処理材ではTi-11V-2Fe-3Al, Ti-11.5V-2Fe-3Al, Ti-11.5V-1.7Fe-3.3Alが150℃以上では良い回復率を示したが80℃ではTi-11.5V-2Fe-3Alの34%が最高であった.しかしTi-11.5V-1.7Fe-3.3Al合金において溶体化処理材を400℃で5秒程度の時効を行った後-15℃で曲げ変形させた所, 80℃では96%の形状回復を示した.これは時効による析出物ですべり変形が抑えられたためと思われる.またこの試料につき室温と80℃で引張試験を行い, その間における回復応力を求めた所, 歪量2%において, 溶体化処理材では8kgf/mm^2であったが, 時効材では17kgf/mm^2と増加した.また時効材の室温での耐力は34kgf/mm^2, 引張強さ70kgf/mm^2であった.回復応力についてはTi-Niの40kgf/mm^2より劣るので, 今後更に改善を試みる.耐食性については, Ti-11V-2Fe-3Alの37℃1%NaCl水溶液中でのアノード分極を測定し検討した.その結果2, 000mVまでではTi-Niのような急激な電流増加もなく, ほぼTiなみの耐食性をもつと考えてよいであろう.以上の結果からこの合金は歯科用インプラントとしての応用の可能性をもつといえる.
著者
山口 哲 大谷 恭史 矢谷 博文 荘村 泰治
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, 2009-09-10
被引用文献数
1

As dental implants have become an established dental treatment, the number of applications to difficult and aggressive cases has increased. To overcome these difficulties and realize safe and precise surgery, computer-assisted navigation systems have been developed. In conventional systems, surgeons feel anxious intra-operatively because they have to operate instruments in the oral cavity while watching a surgical monitor. Thus, we develop novel surgical navigation system by combining the retinal projection head mounted display (RPHMD) and the augmented reality (AR) techniques. In this paper, we propose an image overlay procedure based on the RPHMD and verify its accuracy.
著者
廣瀬 英晴 菊地 久二 友清 直 高野 守 吉橋 和江 安斎 碕 西山 實
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.477-482, 1991
被引用文献数
11

本研究は, 可視光線重合型レジンの重合率を改善することを目的とし, 3種の2元系レジンのモノマー組成と重合率との関係を検討したものである.可視光線重合型アンフィルドレジンは, モノマーとして合成したシクロホスファゼン系のP_4N_4(CF_3CH_2O)_2[CH_2=C(CH_3)COOCH_2CH_2O]_6, [4PN-(TF)_2-(EMA)_6]と市販のUDMA, Tri-EDMAおよびBMPEPPとを用い, 4PN-(TF)_2-(EMA)_6に市販メタクリレートモノマーを20〜80wt%配合して調製した.試作したレジンについて, フーリエ変換赤外分光光度計を用い, KBr液膜法に準じて吸光度スペクトルを測定した.測定は, 光照射前および90秒間光照射した後の所定時間に経時的に行った.硬化させたレジン中の残存二重結合量(RDB)は, いずれの系の場合も, 光照射開始5分以降対数時間と直線関係で減少した.また, RDBは, 4PN-(TF)_2-(EMA)_6に配合する市販モノマーの配合量の増加にともない単調に減少し, 重合率が増大した.4PN-(TF)_2-(EMA)_6に, UDMAあるいはBMPEPPを配合した場合, 粘度が増大するが, RDBは減少した.
著者
倉田 茂昭 二瓶 智太郎 楳本 貢三
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.466-470, 2005
参考文献数
11
被引用文献数
2

銀を抗菌性物質としてもつモノマーであるメタクリル酸銀(MAg)を用い, 抗菌性歯科用レジンの可能性を試みた.すなわち, MAgのメタクリル酸メチル(MMA)に対する溶解性を調べ, 次にMAgを含有するMMAの重合体を調製し, 重合体の圧縮および曲げ強さ, ならびに重合体から水に溶出する銀の溶出量を評価した.その結果, MAgはMMAに84μmol/l溶解し, その濃度は抗菌性を発現できる範囲内であった.MAg含有重合体は, 無色透明であり審美的にも問題はなかった.重合体の圧縮および曲げ強さはPMMAと有意差は認められず, 重合体からの銀の溶出も少なく抗菌性歯科用レジンとして期待できた.
著者
早川 巌 松本 竹男 仲地 理 安江 透 石塚 等 増原 英一
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.59-63, 1987-01-25
被引用文献数
1

不適合義歯の裏装法には, 常温重合レジンを用いる直接法と加熱重合レジンによる間接法とがある.前者は, 簡便で適合性もよいが, モノマーの刺激や重合時の発熱が患者に不快感を与え, さらに物性的にも問題がある.一方, 後者は, 裏装材の物性は優れているが裏装操作が煩雑で, かつ重合時の加熱によって義歯床に変形が生じるため適合性にも問題がある."エポレックス・リベース"は, これら従来の裏装材に付随した問題点を解決する目的で開発された光重合型直接裏装材である.すでに本材料の理工学的性質, 生物学的安全性などについては検討され, 裏装材として十分実用性があることが判明しているので, ここでは, 硬いが幾分脆いという本材料を義歯床レジンに張り合せた場合に, どの程度の補強効果があるかを検索した.また, 裏装後の適合性についても加熱重合レジンおよび常温重合レジンを使用した場合と比較検討した.その結果, 適合性については, 本材料は加熱重合レジンよりはるかに良好で, 常温重合レジンに相当するものであった.補強効果については, 両者を積層することにより塑性変形量が増大して靱性が著しく向上し, 本材料を用いた裏装義歯は, 従来の床用材料のもつ脆性を克服し, 義歯自体の耐久性をも高められる可能性があることが示唆された.
著者
廣瀬 英晴 菊地 久二 宮﨑 紀代美 友清 直 高野 守 吉橋 和江 安斎 碕 西山 實
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.127-135, 1992
被引用文献数
7

本研究は, 可視光線重合型レジンの重合率を改善することを目的とし, モノマーの種類および触媒組成と重合率との関係を検討したものである.可視光線重合型アンフィルドレジンは, 合成したシクロホスファゼン系モノマー3種および市販モノマー8種の計11種に, 6種の触媒組成を配合して調製した.試作したレジンについて, FT-IRを用い, KBr液膜法に準じて吸光度スペクトルを測定した.測定は, 光照射前および90秒間光照射した後の所定時間に経時的に行った.硬化させたレジン中の残存二重結合量(RDB)は, いずれのレジンの場合も, 光照射開始5分以降対数時間と直線関係で減少した.重合禁止剤を配合したレジンの場合, 重合率は9G>BPE200≧4G≧3G≧U-2TH>BPE100>EPM800+3G≧2.6E>(EMA)<sub>6</sub>>(EMA)<sub>7</sub>>(EMA)<sub>8</sub>の順となる傾向であった.一方, 重合禁止剤を配合しないレジンの場合, 重合率はBPE200>9G≧4G≧3G≧U-2TH>BPE100>EPM800+3G≧2.6E>(EMA)<sub>6</sub>>(EMA)<sub>7</sub>>(EMA)<sub>8</sub>の順となる傾向であった.シクロホスファゼン系のモノマーを用いたレジンの場合, 重合性官能基の置換数の減少とともに重合率が増大した.EDMA系およびBMPEPP系のモノマーを用いたレジンの場合, エチレングリコール鎖の鎖員数の増加とともに重合率が増大した.11種のモノマーを可視光線重合型アンフィルドレジンとした場合, 重合率は, 触媒組成A(CQ0.50wt%, DMAEM1.00wt%, BHT0.01wt%)およびC(CQ0.30wt%, DB0.15wt%, DMAB-EMA1.40wt%, BHT0.01wt%)を配合した場合が, 比較的高い値を示した.重合禁止剤BHTを配合しない場合, 配合した場合に比較して重合率は高い値を示したが, 保存安定性が低かった.
著者
廣瀬 英晴 菊地 久二 吉橋 和江 安斎 碕 西山 實
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.213-218, 1991
被引用文献数
10

本研究は, 可視光線重合型レジンの重合率を改善することを目的とし, 光増感触媒の組成と重合率との関係を検討したものである.可視光線重合型アンフィルドレジンは, モノマーとして合成したシクロホスファゼン系のP<sub>4</sub>N<sub>4</sub>(CF<sub>3</sub>CH<sub>2</sub>O)<sub>1</sub>[CH<sub>2</sub>=C(CH<sub>3</sub>)COOCH<sub>2</sub>CH<sub>2</sub>O]<sub>7</sub>[4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>]と市販のTri-EDMAを採用し, これに, 光増感触媒の配合量を種々変化させて配合し調製した.光増感剤は, カンファーキノン(CQ)およびジベンゾイル(DB)を用い, 還元剤は, メタクリロキシエチル-p-ジメチルアミノベンゾエートを用いた.18種のレジンについて, フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いKBr液膜法に準じて吸光度スペクトルを測定した.測定は, 光照射前および光照射後の所定時間に経時的に行った.残存二重結合量(RDB)は, 光照射前のレジン中の二重結合量に対する百分率で表示した.4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>の場合, RDBは, 光照射開始5分および1日後でそれぞれ56〜78%および47〜71%を示した.また, Tri-EDMAの場合, RDBは, 光照射開始5分および1日後でそれぞれ27〜63%および15〜47%を示した.RDBは, モノマーとして4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>を用いた場合, CQの配合量の増加にともない有意に減少し, 一方, Tri-EDMAを用いた場合はDBの配合量の増加にともない有意に減少した.
著者
鈴木 哲也 織田 展輔 内田 光春 早川 巖 高橋 英和
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.165-170, 2002
参考文献数
20
被引用文献数
4

本研究の目的は光重合型レジンが上顎全部床義歯の基礎床用レジンとして有用であるか,常温重合型基礎床用レジンと比較し,検討することである.市販の光重合型基礎床用レジン3種類と常温重合型基礎床用レジン2種類を用い,曲げ特性,ヌープ硬さ,寸法変化率,フィラー含有量および模型への適合性を測定した.光重合型レジンの曲げ特性とヌープ硬さは各製品間で異なり,さらに厚さの違いが性質に影響する製品も認められた.光重合型レジンのヌープ硬さと曲げ特性,特に弾性係数は常温重合型レジンより有意に大きかった.光重合型レジンの浮き上がり量は常温重合型より模型中央部で有意に大きかった.以上の結果から,光重合型レジンは適合性については常温重合型レジンよりやや劣るものの,十分な機械的特性を有し,かつ操作性に優れていることから,上顎全部床義歯の基礎床として有用であることが示唆された.
著者
廣瀬 英晴 菊地 久二 斉藤 仁弘 小堀 雅教 芝原 健夫 安斎 碕 大橋 正敬
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.517-524, 1989
被引用文献数
1

本研究は, 吸水および溶解量の少ない可視光線重合型レジンの開発を目的として, シクロホスファゼンモノマー3種および市販モノマー3種を用いて可視光線重合型のアンフィルドレジンを試作し, それぞれの硬化物の水中での吸水量, 溶解量, MeOH中での膨潤量, 溶解量, THF中での膨潤量および機械的性質について検討したものである.その結果, 吸水量は, いずれのモノマーを用いた場合も経時的に増大した.また, 30日間水中浸漬した場合の溶解量は, 4PN-(EMA)<sub>8</sub>, 4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>, 4PN-(TF)<sub>2</sub>-(EMA)<sub>6</sub>, Tri-EDMA, BMPEPPおよびBis-GMA+Tri-EDMAの場合, それぞれ順に0.16, 0.20, 0.51, 0.65, 0.17および0.81%を示した.MeOH中での膨潤量は, Bis-GMA+Tri-EDMAおよび4PN-(TF)<sub>2</sub>-(EMA)<sub>6</sub>の場合を除き, いずれも経時的に増加する傾向を示した.30日間MeOH中に浸漬した場合の溶解量は, シクロホスファゼンモノマーを用いた場合および市販モノマーを用いた場合, それぞれ0.09〜0.36および1.36〜5.40%を示した.30日間THF中に浸漬した場合の経時的な膨潤量は, シクロホスファゼンモノマーを用いた場合に市販モノマーを用いた場合と比較して小さかった.一方, 圧縮強さは, いずれのモノマーを用いた場合も230〜275MPaを示し, 曲げ強さは, シクロホスファゼンモノマーを用いた場合は, いずれも45MPa以下を示し, 市販モノマーを用いた場合は59〜90MPaを示した.
著者
高野 守
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.147-153, 1993
被引用文献数
2

本研究は, 可視光線重合型レジンの重合率を改善することを目的とし, BisGMAを用いた2種の二元系レジンのモノマー組成と重合率および粘度との関係を検討したものである.可視光線重合型アンフィルドレジンは, モノマーとしてBisGMA[2, 2-ビス{4-(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル}プロパン], TriEDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)およびBMPEPP[2, 2-ビス(4-メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン]を用い, BisGMAに希釈モノマーをそれぞれ20〜100wt%の範囲で配合して調製した.試作したレジンについて, フーリエ変換赤外分光光度計を用い, KBr液膜法に準じて吸光度スペクトルを測定した.測定は, 光照射前および90秒間光照射した後の所定時間に経時的に行った.硬化させたレジン中の残存二重結合量(RDB)は, いずれの系の場合も, 光照射開始5分以降対数時間と直線関係で減少した.また, RDBは, BisGMAに配合する希釈モノマーの配合量の増加に伴い減少し, 80wt%で極小を示した.二元系レジンの重合率は, 成分モノマー単独の重合率の相加平均より大きかった.希釈モノマーの配合量が20〜80wt%の範囲の場合, 2種の二元系レジンの重合率はほぼ同じであった.二元系レジンの粘度は, いずれも希釈モノマーの配合量の増加に伴い単調に減少したが, 粘度の低減効果はTriEDMAの方がBMPEPPより大きかった.二元系レジンの重合率は, 成分モノマーの重合率の相加平均およびその粘度の増減に支配されることが示唆された.
著者
友清 直
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.225-232, 1992
被引用文献数
1

本研究は, 可視光線重合型レジンの重合率を改善することを目的とし, 複合増感剤の組成と重合率との関係を検討したものである.可視光線重合型アンフィルドレジンは, モノマーとしてトリエチレングリコールジメタクリレートを用い, これに種々組成を変化させた複合増感剤を配合して調製した.光増感剤としてはカンファーキノン(CQ), ベンズアンスロン(BA), ジベンゾイル(DB), チオキサンテン-9-オン(T9), 8-キノリンスルホニルクロライド(QC)および3-フェニル-5-イソオキサゾロン(PIO)を用いた.還元剤としては, メタクリロキシエチル-p-ジメチルアミノベンゾエート(DMAB-EMA)を用いた.重合禁止剤は, 2, 6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(BHT)を用いた, 複合増感剤の基本組成(NON)は, CQ0.30wt%, DMAB-EMA1.40wt%およびBHT0.01wt%とし, これに他の光増感剤を1〜3種配合して用いた.試作したレジンについて, FT-IRを用い, KBr液膜法に準じて吸光度スペクトルを測定した.測定は, 光照射前および90秒間光照射後の所定時間に経時的に行った.硬化させたレジン中の残存二重結合量(RDB)は, BA-PIO系のレジンの場合を除いて, いずれの場合も, 光照射開始5分以降経過時間(対数表示)と直線関係で減少した.BA-PIO系のレジンは, 重合反応の誘導期を示した.NONに光増感剤1種を配合した複合増感剤を用いた場合の重合率は, 光照射開始5分後でQC>DB>T9>NON>BAの順であった.複合増感剤に用いる補助光増感剤としては, QCが最適で, その配合量は0.30wt%であった.