著者
木村 昌三 岡野 健之助
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.40, pp.187-195, 1992-12-15
被引用文献数
6

四国の中央構造線周辺地域に発生する地震の震源を再検討した上で, その震央ならびに深さ分布を求め, 構造線との関係について考察している。深さが5 kmより浅い地震の多くは構造線の南側にのみ観測されている。震源の深さ分布のずれからも, これは構造線を境にして南側(三波川変成帯)の上昇を示唆する。深さ8〜18 kmの地震では燧灘における活動が目立ち地形との関連が印象的である。下部地殻には地震が観測されないので, 23 kmより深い地震はすべて最上部マントル内のものであるが, この北傾斜で分布する地震は, 四国西部では構造線の制約を受けず構造線を越えて中国地方へ連続した分布を示す。しかし中東部では構造線の制約を受けて北側での活動は極めて低く, しかもその分布は中国地方に想定されるモホ面直下に水平に分布する。これらの地震を発生させる主圧力の方向は, 地殻内地震ではほぼ東西, マントル地震では南北である。

言及状況

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