著者
岡田 篤正
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.18, pp.79-108, 1980-03-30
被引用文献数
11

中央構造線はとくに紀伊中央部以西において各種の断層地形を伴い,右ずれ変位成分が卓越した主要活断層系を形成している。この活断層運動は二重弧の形成と関連して鮮新世最末期以来始まり,更新世中期以後激化するようになった。第四紀後期の断層運動は,場所による相違はあるものの,ほぼ累進的ないし徐々に加速するような変位速度で繰返し行われてきた。第四紀後期の右ずれ平均速度は四国中部から四国東部で1,000年につき5-10m,紀伊西部および四国西部で同じく数m,他地域ではより小さい値である。垂直変位は四国中央部の石鎚断層崖で最大1,500mに達し,1,000年につき0.8mに及ぶ平均速度で同様に累進的ないし加速的に行われてきた。水平変位に隋伴したいくつかのオーダーの波曲状変形が中央構造線活断層系の両側に認められるので,垂直変位の向きと量は各地形区で大いに異なる。中央構造線活断層系に沿う,このような様式の断層運動は第四紀を通して,西北西-東南東方向の広域水平圧縮のもとで形成されてきた。

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