著者
堀川 晴央
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.9-19, 1999-03-24
参考文献数
32
被引用文献数
1

地震学的に見た兵庫県南部地震の本震, および, 前震や余震の特徴を概観した。本震は東西方向に圧縮軸を持ち, これは西南日本内帯で発生する内陸型地震の典型である。起震断層は神戸側と淡路島側との2つに大きく分けられると考えられている。そして, 神戸側の断層は, 更に2つの部分に分かれる。淡路島側の断層では浅部ですべりが大きいのに対し, 神戸側の断層では深部で大きく, また, すべりの大きな部分は2箇所ある。破壊はまず神戸側の断層で始まり, 約3秒後に淡路島側の断層へ伝播した。また, その際に多量の高周波が発生した。本震の破壊完了までに要した時間は約12秒と推測されている。前震は本震の破壊開始点近く, 断層の幾何が複雑なところで発生している。余震の発震機構から推定された応力テンソルは本震の断層面に対して高角で最大主圧縮応力を持つと推測される。このような応力状態は, 余震活動の特徴である余震の発震機構がばらつくことを説明できる。

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