著者
高塚 慶次 宮本 慎一 田宮 高宏
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.1373-1384, 1981-11-20

夜尿症の病因を解明するには,小児の膀胱機能の年齢発育に関する知見が不可欠である.機能的膀胱容量と平均尿流量率とは容易に測定でき,かつ,正常小児の膀胱機能を評価する上で,有用な指標である.前者は強い尿意のあったときの排尿量,後者はそれを排尿時間で除した値として求まる.この方法により,4歳〜14歳迄の正常小児102名に対して,水負荷後の排尿量と平均尿流量率を測定し,分散分析法によりデータを解析した.結果は以下の如きであった.1)機能的膀胱容量は4歳から14歳迄,年齢と共に増加する.2)男子では同年齢の女子に比較し,僅かながら膀胱容量は大である.3)平均尿流量率は,略々排尿量の平方根に比例する.4)平均尿流量率は年齢に伴って増加する.このことは,かなりの程度に,年齢増加に伴う排尿量の増加によるものであるが,共分散分析により,年齢そのものに伴う増加のあることを,確認した.5)女子の平均尿流量率は,同年齢男子に比べ大である.

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