著者
吉永 敦史 吉田 宗一郎 中込 一彰 後藤 修一
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.98, no.5, pp.710-712, 2007-07-20

症例は62歳,男性.1998年交通事故によりC3-4レベルの頚髄損傷となり面上下肢麻痺,膀胱直腸障害が出現したが,手術とリハビリテーションによって現在では歩行可能となっている.また排尿状態については術後尿閉がみられたが,次第に改善し自排尿可能となっていたとのことであった.2001年排尿障害を自覚し,尿の排出ができなくなったため自己導尿目的にネギを尿道に挿入したが抜去できなくなったため当科受診となった.鉗子による異物の除去はできず,経尿道的に異物の除去を行った.尿道カテーテルの歴史について調べてみると,金属製のものや自験例のようなねぎなどが用いられていた時代もあった.
著者
田坂 登美 平賀 聖悟 北村 真 飯田 宜志 黒川 順二 飛田 美穂 佐藤 威
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.1506-1510, 1986-09-20

最近,日本人の精巣重量およびサイズ等に関して検討を行なった報告は,ほとんど見られない.今回,われわれは,747例の変死体剖検症例を対象として,そのうちの651例について精巣重量とサイズの検索を行なった.重量,厚さはp<0.01で右の方が大きく,20〜49歳の平均精巣重量は左14.53±4.07g,右15.35±4.26g,平均サイズは左長径4.51±0.64cm,短径3.04±0.43cm,厚さ1.43±0.3cmで,右長径4.53±0.61cm,短径3.05±0.4cm,厚さ1.55±0.33cmであった.また両側精巣とも重量,長径,短径で30歳代が最大との結果が得られた.
著者
加藤 久美子 近藤 厚生 岡村 菊夫 高羽 秀典
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.1501-1505, 1986-09-20
被引用文献数
19

名古屋市内の一企業の女性社員に尿失禁に関するアンケート用紙を配布し,回答の得られた968名(回答率93.3%)を集計した.対象の年齢は17〜69歳で,10〜20代が全体の約7割を占めた.1)尿失禁が現在あるものは全体の8.5%,過去にあったが消失したものは6.7%であった.2)尿失禁保有率は年代と共に増加し,40代をピークとしてその後やや低下した(10代1.5%,20代4.1%,30代17.7%,40代23.9%,50代21.8%,60代20.0%).3)出産回数が多い程,尿失禁保有率は高かった(0回4.3%,1回15.2%,2回24.0%,3回以上34.3%).4)未産婦の尿失禁保有率は,年代と共に上昇した.5)尿失禁の現在ある群の平均体重は,尿失禁の経験のない群より,30代・50代・60代では統計的に有意に重かった.6)尿失禁の誘因はくしゃみ,咳,急がないと間にあわない,なわとび,笑う,精神的緊張,走る,重い物を持つの順に多かった.7)尿失禁の程度は,気にならない73%,濡れると気になって下着を替える22%,時々生理用ナプキンを使う4%であった.8)尿失禁を主訴として医療機関を受診したことのあるものはなかった.本邦の健常女性において,未治療の腹圧性尿失禁が多数存在すると推測された.腹圧性尿失禁の啓蒙に取り組むことが今後の課題になると思われる.
著者
斉藤 博
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.10-19, 2006-01-20
被引用文献数
1

(目的)『ヒポクラテス全集』の尿に関する記述を研究した.(方法): 『ヒポクラテス全集』(ラーブ版, 大槻版, 今版)の尿の記述を採集し, コス学派とクニドス学派とで比較した.(結果)尿は396カ所記述されていた;コス学派355, クニドス学派23, 学派不明9であった.尿所見の記述は39種類で, 濃厚, 希薄, 清澄, 濁り, 煮熟, 未熟, 水っぽい, 色あせ, "良好な色", 血液, 血塊, 膿, などであった.色は27色で, 黒(メラス), 白(レウコス)が多く, 赤(エリュトロス), 黄色, 黄色系色(クロロス, オクロス, プロス, クサントス)などがこれに続いた."良い尿"とは, 白色尿(レウコス), 黄色尿(オクロス), または, 澱が白く, 滑らかで均一な尿で, "悪い尿"とは, 黒色尿, 希薄尿, 悪い匂い, 水っぽい尿, 澱がふすま状の尿である.(結論)尿所見は『ヒポクラテス全集』で記述されており, コス学派で多く, 多彩であった.ヒポクラテスの色彩表現は現代日本語とは異なっていた.白色(レウコス)ブドウ酒と同じように, (レウコス)は白色でも無色でもなく, 淡黄色であることから, 白色(レウコス)尿は淡黄色尿と考えられる.濃厚な白色尿と濃厚な黄色(オクロス)尿は, それぞれ, 健康者の濃縮された黄色と黄褐色尿と考えられる.黒色(メラス)尿は赤(メラス)ブドウ酒様の肉眼的血尿, 薄い黒っぽい尿(ヒュポメラス)は, 血尿に希釈尿が合併した尿で, 腎不全が考えられる.
著者
桑田 真臣 千原 良友 鳥本 一匡 影林 頼明 中井 靖 三馬 省二
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.632-634, 2009-09-20

思春期尿道異物の2例を経験したので報告する.症例1は12歳,男子.肉眼的血尿,および尿道痛を主訴に当科を受診した.KUB,および尿道膀胱鏡で前立腺部尿道に全長7.5cmの伸展させた状態の安全ピンが認められた.患者は否定したが,安全ピンは自己挿入されたと推察された.症例2は14歳,男子.全長5cmの円柱状の金属を自慰目的で自己挿入した.KUBで異物は膀胱内に認められた.2例とも内視鏡的に異物を摘出し得た.2例の家庭環境の共通点として,母子家庭であることがあげられる.症例1の父親は,患者が5歳のときに患者を助けようとして患者の目の前で交通事故死した.症例2では,両親が離婚していた.幼児期における父親との離別が精神状態に不安定性を与え,結果的に尿道への異物自己挿入の原因となった可能性が考えられる.泌尿器科医にとって尿道膀胱異物はまれではないが,15歳以下の報告は極めてまれである.尿道異物自己挿入の原因としては自慰目的がもっとも多いが,思春期の症例では精神神経疾患の初期症状であるものや,精神状態が不安定であるものが散見される.膀胱尿道異物患者,とくに思春期の患者においては,異物自己挿入にいたった背景や精神状態を慎重に評価し,精神医学的検索や治療の必要性を的確に判断することが泌尿器科医に求められると考える.
著者
小堀 善友 青木 裕章 西尾 浩二郎 佐藤 両 芦沢 好夫 八木 宏 宋 成浩 新井 学 岡田 弘
出版者
THE JAPANESE UROLOGICAL ASSOCIATION
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.103, no.3, pp.548-551, 2012-05-20

(目的)不妊症の原因が膣内射精障害であるカップルは少なくない.これらの膣内射精障害患者に対し,マスターベーションエイドであるTENGA<sup>®</sup>を用いてリハビリテーションを行った.(対象と方法)男性不妊症患者で膣内射精障害を訴えた男性16人(29~48歳).非用手的マスターベーションや,強すぎるグリップなど,マスターベーション方法に誤りが認められる患者を10名認めた.テストステロン値には異常を認めなかった.外来にてカップルに対してカウンセリングと正しいマスターベーション方法を指導し,マスターベーションエイドを用いた射精リハビリを指導した.併用した薬剤や挙児希望者に対して用いた生殖補助医療についても検討した.(結果)16例中12例(75%)は射精リハビリテーションの結果TENGA<sup>®</sup>を用いてのマスターベーションは可能になり,マスターベーション方法は補正が可能であった.さらにこのうち5例(31%)は膣内で射精が可能になった.(結論)膣内射精障害は,潜在的に多くの患者がいる可能性がある.マスターベーション方法が間違っている患者に対しては,マスターベーションエイドにて補正が可能であり,膣内射精も可能になる事が示された.マスターベーションエイドは,膣内射精障害治療の選択枝の一つとなりうると考えられた.
著者
座光寺 秀典 宮本 達也 神家満 学 犬塚 秀康 土田 孝之 荒木 勇雄 武田 正之
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.29-33, 2010-01-20
被引用文献数
2

われわれはロタウィルス胃腸炎後に両側尿管結石による急性腎不全となった2幼児例を経験した.症例は2歳4ヵ月の男児と1歳1ヵ月の男児.4〜5日続く下痢,嘔吐に引き続いて無尿となったため当院を受診した.便中ロタウィルス抗原陽性で腹部超音波検査と腹部CTで軽度水腎症と両側尿管結石を認めたため,ロタウィルス胃腸炎後の尿管結石嵌頓による腎後性腎不全と診断した.直ちに経皮的腎瘻を造設し,数日で腎機能は正常化した.尿アルカリ化を行い腎瘻カテーテルから砂状の結石の排出を認めた,結石分析の結果酸性尿酸アンモニウムであった.酸性尿酸アンモニウム結石は先進国ではまれであるが,近年ロタウィルス胃腸炎後の両側尿路結石による急性腎不全の報告が散見される.これまでロタウィルス感染後の急性腎不全の主因は持続する脱水症と考えられていたが,本例のような尿管結石による腎後性の要因も考慮すべきであると思われた.
著者
野村 照久 坂本 文和
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.7, pp.1138-1141, 1992-07-20
被引用文献数
5 2

症例は63歳,男性.1967年より糖尿病を指摘され,1983年6月より糖尿病性腎症,慢性腎不全のため血液透析を開始,このときすでに神経症,網膜症を伴っていた.1990年6月中旬より亀頭部痛出現し,3ヵ月後には亀頭全体が黒くミイラ状に変性し,壊死に陥ったため1990年10月9日,陰茎部分切断術を施行した.病理組織学的所見では糖尿病による血管病変を主体とする内腔閉塞,血栓形成等が広汎に認められた.陰茎壊死を合併した糖尿病症例の報告は極めて少なく,本症例は本邦では2例目,欧米を含めても5例目に相当する.
著者
堀田 浩貴 熊本 悦明 青木 正治 山口 康宏 佐藤 嘉一 鈴木 伸和 和田 英樹 伊藤 直樹 塚本 泰司
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1939-1946, 1991-12-20

夜間睡眠時勃起現象(NPT)は,ほとんどすべての健康男子に見られる生理現象であるが,小児での検討は少ない。そこで今回我々は,3歳から18歳までの小児30例で,NPT測定を行い,身体的発育と性的成熟度との関連について検討した。1.NPTの回数は各年齢でバラつきが大きいが,10歳過ぎ頃より増加傾向を認め,13,14歳の2例で14回と最高値を示した。2.陰茎周増加値(一晩のNPTのエピソード中,最大の陰茎周変化の値)は10歳まではすべて10mm以下であったが,12歳過ぎ頃に急激な増加が見られた。3.NPT時間(一晩のNPT時間の合計),%NPT時間(睡眠時間に占めるNPT時間の割合)は,ともに12歳頃より急激な増加が認められた。%NPT時間は,血清LH値とほぼ正の相関を示していた。また思春期発来の指標と考えられている夜間睡眠時のLH pulseが認められた例では,認められなかった例に比し,%NPT時間は明らかに高値であった。4.以上から,小児におけるNPTの測定は,他の内分泌的指標とともに思春期発来を知る上での生理学的指標となり得る可能性が示唆された。
著者
門間 哲雄 斉藤 史郎 大木 隆弘 佐藤 裕之 戸矢 和仁 土器屋 卓志 村井 勝
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.91, no.10, pp.657-665, 2000-10-20
参考文献数
16
被引用文献数
3 1

(目的)本邦での密封小線源治療(小線源治療)は放射性物質の体内永久留置が法律により厳しく規制されているため,主に高線量率イリジウムを用いた一時的留置法が数施設で施行されているにすぎない.前立腺癌に対して低線量率イリジウム(LDR-Ir)を用いて小線源治療を施行している施設は当施設だけであり,本研究においてこの治療法の臨床成績について検証する.(対象と方法)1997年12月から1999年12月まで組織学的に前立腺腺癌と診断された26症例(Stage B 92%;Stage C 8%)に対して小線源治療を施行した.23例は小線源治療単独(1例はneoadjuvant療法を施行),3例については小線源治療と外照射放射線治療(ERT)の併用を行った.(結果)小線源治療単独群では2から26カ月の経過観察期間において,治療前PSA値が20ng/ml以上の9症例中8例がPSA failureとなり,20ng/ml未満では13例すべてにおいてPSA failureが見られなかった.Gleason's score7以上の11例のうち8例にPSA failureを認めたが,6以下の14例は,すべてにおいてPSA failureが見られなかった.併用療法群では4から9カ月の経過観察期間においてPSA failureを認めなかった.全症例の経過中,重篤な合併症は認められなかった.(結論)PSA値やGleason's scoreによって症例を厳密に選択することができれば,LDR-Irを用いた小線源治療は有効な治療となりうることが本研究から示された.
著者
河内 明宏 渡辺 泱 中川 修一 三好 邦雄
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.1811-1820, 1993-10-20
被引用文献数
1 5

一般の小学生と幼稚園児2,033名を対象として,正常児および夜尿児の膀胱容量,夜間尿量と夜尿を含む夜間の排尿行動を,質問紙法により調査した.正常児の朝,昼の膀胱容量と夜間尿量は,年齢との間で直線回帰式にて表せる,有意な相関関係を示した.また体の成長との関係においては,身長,体重および体表面積の3者の内で,体重との間で最も良い相関関係を示した.夜間尿意覚醒時の膀胱容量と朝,昼の膀胱容量を比較すると,朝の膀胱容量が夜間の膀胱容量に近い値を示し,夜尿を論じる際の膀胱容量は朝起床時の膀胱容量を重視すべきであると思われた.夜尿児の朝の膀胱容量は,正常児と比較して,6歳までは小さいが,7歳以上では逆に大きいと考えられた.正常児の間でも10〜15%に夜間多尿であると思われる児童が存在し,これらは覚醒機能が正常で,夜間尿意覚醒するために夜尿とならないと考えられた.夜尿児の頻度は全体で14%であり,9歳までは男が多かったが,10歳以上ではほぼ同じ頻度であった.過去に夜尿があった児童の調査結果より,夜尿の平均自然消失年齢は7.3歳であり,このことより8歳以降持続する夜尿は積極的治療の対象になると考えられた.