著者
川西 泰夫 田村 雅人 香川 征
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.8, pp.1284-1293, 1992-08-20
被引用文献数
3

インポテンスの症例,70例に対して深陰茎背静脈結紮術を施行した.手術によってDICC検査における勃起発現流量,勃起維持流量とも低値となりDICC検査上の改善を認めた、自覚的には70例のうち39例が性交可能となり,塩酸パパベリンによる勃起機能検査では61例で完全な勃起が得られるようになった.しかし,観察期間が長くなるとともにインポテンスが再発し有効率は低下した.インポテンスの再発はDICC検査の推移から他の静脈からのvenous leakageが増大することによるものと考えられた.術後の成績をKaplan-Meier法に準じて累積有効率で評価した.一旦性交可能となった症例も1年以内に約50%が性交不能に陥り,残りの約50%の症例はその後3年目までは性交可能な状態がつづき,50ヵ月では約30%の症例で有効性が保たれた. 深陰茎背静脈結紮術は静脈性インポテンスを完治させるものではなく再発率の高い治療方法である.しかし,重大な副作用を伴わないこと,外来通院で施行可能であること,その手術成績が広範囲な静脈を結紮する手術方法と比較し,遜色がないことから深陰茎背静脈結紮術は静脈性インポテンスに対する第一選択の手術法であると考える.

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