- 著者
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吉村 一宏
細木 茂
黒田 昌男
清原 久和
古武 敏彦
- 出版者
- 社団法人日本泌尿器科学会
- 雑誌
- 日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
- 巻号頁・発行日
- vol.79, no.11, pp.1848-1851, 1988-11-20
- 被引用文献数
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2
症例は54歳,男性.1986年1月,排尿痛を主訴として当科受診した.家族歴,既往歴に特記すべきことはなかった.膀胱鏡にて乳頭状有茎性腫瘍を認め,1986年8月15日経尿道的膀胱腫瘍切除術(以下,TUR-Btと略す)を施行した.病理組織は移行上皮癌,G2,pTisであり,同年12月15日よりBCG膀胱内注入療法を開始した.BCGはTokyo172株を用い,80mgを50mlの生理食塩水に溶かし膀胱内に注入し2時間は保持させた.膀胱内注入は週1回,6週間施行した.投与開始前のツベルクリン反応は陽性であった.膀注3回目より尿細胞診は陰性になったが膀胱刺激症状が著しくなりINH,副腎皮質ホルモンを投与しても改善されなかった.BCG膀注終了後約6ヵ月を経て膀胱容量は約50mlと減少し,高度の膀胱刺激症状も持続していたため1987年7月20日,膀胱尿道全摘および回腸導管造設術を施行した.摘出した膀胱は壁が肥厚し粘膜は全体に充血し浮腫状であった.組織学的には腫瘍細胞を認めなかったが粘膜上皮が脱落し乾酪壊死を伴う結核性病変を広範囲に認めた.BCG膀注による副作用として萎縮膀胱はまれであり調べ得た限り本邦1例目である.若干の文献的考察を加え報告する.