著者
中川 聖一 山本 誠治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.2139-2145, 1996-12-25
被引用文献数
9

本論文では,対話方法と被験者の違いによる振舞いや主観の違いの検討を行うために,"Wizard of Oz法"でインプリメントしたシステムを用いて評価実験を行った."Wizard of Oz法"とは,システムに精通した人(ウィザード)がシステムの代わりに処理を行うことによって,あたかもシステムが存在しているかのように見せかける実験方法である.評価実験で用いたタスクは,"富士五湖周辺の宿泊施設案内"で,対話方法としてはシステム主導型とユーザ主導型の二つを用意した.また,被験者として情報工学系の学生と工学系でない一般の女性を選び,合計16人で実験を行った.評価実験で得られた対話データをもとにユーザの平均発話数,1発話当りのユーザのシステム占有時間,聞き直し,間投詞,言い直し,単語カバー率について詳しく検討した.その結果,ユーザの平均発話数はシステム主導型の方が多くなるが,ユーザのシステム占有時間はユーザ主導型の方が長くなることわかった.また,間投詞,言い直しはユーザ主導型の方が多く出現することわかった.更に,システム主導による入力の方がユーザ主導に比べて使用される単語にかなりの制限が加えられることが確認できた.

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