- 著者
-
竹田 仰
金子 照之
- 出版者
- 一般社団法人映像情報メディア学会
- 雑誌
- テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.12, pp.1935-1940, 1996-12-20
- 参考文献数
- 18
- 被引用文献数
-
42
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視覚情報によって生じる運動感覚は, 視覚誘導自己運動感覚(Vection)と呼ばれている.Vectionが人の生体生理に及ぼす影響について測定することは, 人工現実感における臨場感の効果を把握する上で重要である.我々は, Vectionに関する知見を深めるために, 非常に広い視野角を有する, ハーフドーム型スクリーンを用いて, 映像の揺れに対する被験者の直立姿勢時の重心動揺の測定を行った.本論文では, 水平面・垂直面を強調した2種類のCG映像, ロール・ピッチ・ヨーの3種類の揺れ方向, 0.1〜0.4Hzの4種類の揺れ周波数, 15〜45゜の3種類の揺れ角度に対する重心動揺の影響を調べた.その結果, 垂直面を強調した映像をロール方向に大きく揺らすなど, 重心動揺に及ぼす影響が大きいことが明らかになった.また, 映像の揺れ周波数が低いときは, 映像と重心動揺の位相は一致しているが, 揺れ周波数が高くなるにつれて, 位相のずれが大きくなり, 0.3Hzを越えたところで90゜の位相遅延を生じることが示された.