著者
西田 弘平 中山 太門
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.187-190, 1958

八丈島のマムシ咬症について, 町立診療所のカルテ及びこれにもとづく面接調査によつてその疫学相をしらべた.1.八丈島はマムシの濃厚な発生地として有名で, 咬症患者も比較的多く, 我々が知りえた患者だけでも1952年から1957年の6年間に60名, 年平均10名, 人口千人に対し年間約1名の割合であつた.2.患者は男子41, 女子19で, 圧倒的に男に多く, 年齢別には11〜20歳の24名が最高であるが, 女子では51〜60歳の9名が多いことが注目された.これは野外性病害動物による疾患の疫学的特徴を示すものと解される.3.受傷場所は草むら, 耕地25例(41.7%), 山林21例(35.0%), 通行中11例(18.3%)が多く, ハブ咬症と異つて屋内の受咬例はみられなかつた.受傷時刻は早朝や日没時に多いようであつた.4.受傷部位は手27例(50.0%), 足26例(48.2%), 下腿1(1.8%)で, ほとんど全例が手足に限られ, 上膊, 大腿, 躯幹にはみられないことがハブ咬症と異り, マムシがハブよりずつと小型で, その攻撃姿勢も低いことに起因する差異と推定された.5.季節的には明らかに夏型で, 11〜3月に患者がみられず, 最高は7月の15例(25.0%)で, 最盛夏の8月には11例で9月の13例よりも少なかつた.この面でも奄美大島のハブ咬症の発生状況と近似している.6.治癒日数は蛇毒血清を使用した者は経過よく, 26例中23例(88.5%)が5日以内に治癒した.血清を使用しないものは20例(58.8%)が6〜10日で治癒し, 残りは11〜112日を要している.7.以上の疫学相を恙虫病のそれと比較すると, 季節分布, 地域分布, 年齢, 性別罹患状況などの点で新潟型恙虫病と近似し, 同じ八丈島の七島型恙虫病とは, これらの諸面で著しい相違があることが注目された.

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大島ですらマムシの温床(行って最初に指導されたのが「絶対に草むらに入るな。いつ噛まれてもおかしくない」)だから、八丈も相当居るかなと思ったら、大島以上だった http://t.co/K95ADalrkh #nichiten

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