著者
竹之熊 国八
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.108-112, 1966
被引用文献数
2 2

1. 夏期(7月)のヒトスジシマカ幼虫・蛹の生息密度は15.480(水100ccにつき), また水域の密度は1m^2あたり1.112で, 一水域の平均水量は120ccであつたから.これらの数値によつて調査地(墓地)全体(面積1.5ha)として1日に羽化する成虫の数を計算によつて求めると, 少なくとも12, 000頭に達することが分つた. 2. ヒトスジシマカの主な越冬態は本土におけると同様卵であるが越冬幼虫も見られた.それらの発見された場所は季節風の緩和される部分にある竹の花立が最も多い.季節風の影響が成虫の産卵(行動)に効いているからか幼虫の死亡に効いているのかは明らかでないが, 少なくとも季節風は越冬幼虫の個体数を制限する上で何らかの影響を及ぼしていることはいえる.また, 竹の花立は比較的安定した温度水域であるから, これに多くの越冬幼虫が生存し得ると考えられるが, 一方越冬幼虫の食物の問題も関連があると思われる.

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