- 著者
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モンティーンーアート パンヤット
中薗 孝裕
岡本 智伸
小田原 健
菊地 正武
椛田 聖孝
- 出版者
- 日本草地学会
- 雑誌
- 日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.2, pp.115-121, 1998-07-31
- 被引用文献数
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日本において動物園は, 有害物質による汚染のない排水の制御や飼料コストの増加などいくつかの問題をかかえている。本研究では, 生物的浄化や飼料としての水生植物の利用を熊本市動植物園内で行った。 3種類の水生植物(ホテイアオイ, ボンテデリア, マコモ)を汚水の流入する池で栽培したとき, 水中における全リンの濃度は, 植物の成長に伴い有意に減少した。 収穫した3種の植物は,湿地帯に生息する草食動物の嗜好性において良い結果がえられた。さらに, 飼料としての植物の利用は本動物園において1ヶ月当たり少なくとも約8万円の飼料費削減をもたらした。サイレージ調製について検討した結果, 添加物の必要性が認められた。 この研究から, マコモ, ポンテデリア, ホテイアオイのような水生植物による富栄養池の生物的浄化とその飼料としての利用は動物園において有効であることが示唆された。