著者
竹沢 誠二
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
造船協会誌 (ISSN:03861597)
巻号頁・発行日
no.408, pp.289-293, 1963-08-25
被引用文献数
1

概 要 さきに操縦性能研究用としての模型船無線操縦装置の一方式について紹介したが(会誌375号)。今般その追加装置である計測装置が完成したので大要を述べさせていただく。広義の船型試験の観点に立って考えると, 無拘束状態で自由に操縦される模型船の利用範囲は広く, 水面の条件さえ整えば, (1)平水中の操縦性試験, (2)斜波中の運動性試験, (3)波浪中の操縦性試験, (4)いわゆる直進時自航試験, などの可能性が考えられる。ここに述べる計測装置は当面の対象としては, (1)を考えて製作されたものであるが, (2)以下についても若干の考慮をして計画されたものである。対象になる計測要素は主として船内でピック・アップされる。したがって計測量を船内で自記させるか, 無線で地上へ送り地上で記録させるかによって計測システムの格は大巾に相異したものとなる。前者は装置が簡単にな性り取扱いに便であり, 故障要素も少ないので従来の装置は全部この方式に類する。後者は, 操縦しながら実験の成否が判別できる便があるが, 装置が複雑となりしたがって故障要素も多い, さらに計測量の無線電送による誤差が含まれる欠点がある。航空機の実機試験, ミサイルの実射試験などでは, 試験自体が巨額の費用と多大な工数を要すること, 特にミサイルでは回収不能であることから, 後者を採用している。模型船試験では後者を選択する必要性が多いとはいえないが, われわれの場合対象船型の特殊性から, すでに無線操縦装置が担当複雑なものとなり実験の複雑化が予想されるので, それが完全に成功すれば大なる利点が考えられる計測量の無線電送を試みてみることにした。船の軌跡の測定はこのような試験では重要な位置を占める。船内で船速および方位角を連続計測し, それらをテレメーターし地上で実船の航跡自画機のようなものに入れれば軌跡を画かせることは可能であるが, 船速を精確に船内で測定するのは困難であるので, 得られる軌跡も不精確にならざるを得ない。したがって軌跡の測定は従来のように地上から船を追跡する方式によることにした。ゆえに本装置は船内に設置される各種計測器, 計測量送受信装置, および航跡測定装置の3つに大別される。

言及状況

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