著者
武井 昌博
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, 1977-09-15

集中豪雨による切取りノリ面の受ける災害は, 質・量ともに多く, 台風がもたらす, 災害に劣らないことを統計量は示している。災害に対しては, 台風よりも割合いに処置しやすいと目される集中豪雨の降雨特性を分析することにより線区ごとに, 災害発生の時点を予察する際の一資料を提供する。集中豪雨のうち, ノリ面の大災害もしくは大量災害を誘発させた32例152か所の観測値を主体にして, ノリ面災害件数の推移と豪雨の性質, 降雨特性を分析した。集中豪雨によるノリ面災害は, 台風によるものに劣らない。集中豪雨は, 定着性・長期性が強いため, 降雨量も含めて現場ごとに予測することは可能である。たとえば, 降雨の初期後期は弱く, 中間において強雨があり, その連続の状況は相対分布としては握することができた。総降雨量は地域, 降雨月, 最大日雨量, 全体降雨日数の4要因の因子分析により確率的に推測することができ, さらにマルコフ連鎖理論を応用しての降雨状態推定の可能性を検討した。これら降雨パターンと集中豪雨による路盤災害の関係の解析を行なった。

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