著者
林 正夫 日比野 敏 本島 睦
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, 1982-03-15

原子力発電所の立地拡大策の一つとして, その有効性の評価が行われている。本報告はこれら地下立地における大規模な地下空洞の安定性について, 岩盤力学上の研究成果をとりまとめている。すなわち, (1)空洞の安定性解析手法の適用性と実証性ならびに信頼性(2)空洞形状の最適化による空洞の安定性の向上と今後の設計(3)双設空洞掘削時の周辺岩盤の緩み相互干渉(4)三つの並列した空洞の周辺岩盤の相互干渉(5)岩盤のかぶり深さが空洞の安定性に及ぼす影響(6)軟岩における空洞の安定性(7)三次元解析によるロックストラットの効果の検討(8)想定事故時の内圧による空洞の安定性(9)水平震度による空洞周辺の応力状態である。既往の揚水式地下発電所で得られた岩盤の物性値, 地圧と想定される空洞の大きさを組み合わせて検討した結果, 原子力発電所地下立地における空洞は, 安定に建設が可能であること, およびそのための技術指針となるべき事項がかなり明らかとなったこと, 今後はサイトに応じた詳細検討を行うことになろうことなどを指摘している。
著者
林 要一
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, 1980

札幌市地下鉄南北線, 全長2.4 kmにわたる地下鉄延長工事の施工概要について述べたものである。工事対象地の地盤は, 地表面から深度10 mまでは軟弱な有機質土層, 深度10~18 mまではレンズ状に粘土を挾む細砂層, 深度18~20 mまでは粘土層, 20 m以深は札幌扇状地を形成する砂礫層からなる。細砂層, 砂礫層とも地下水で被圧されている。開削工による掘削断面の大きさは, 幅19 m, 深さ22 m, 土留めは深度32 mまでの地中連続壁によって行っている。連続壁の施工ジョイントと配筋に工夫をして, 地中連続壁を, 一部分, 駅部分の本体構造として利用しているのが特徴である。また, 地中連続壁打設後の地盤掘削に際しては, 深度18~20 mの粘土層底面に作用する1.5 kgf/cm^2の被圧地下水圧による掘削面のボイリングやヒービングを防止するために, 深度22 m以深の礫層にディープウェルを打設した。しかし, このディープウェルによる揚水のために, 周辺に存在する1200本以上の井戸が井戸枯れを生じた。市街地における地下水位低下工法の難しさを示す一例である。
著者
酒見 尚雄 神保 信雄 柳瀬 重靖
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, 1978

横浜港内の軟弱地盤対策について, 施工管理の状況を中心に, 設計上留意した点, 改良の効果, その問題点, 注意すべき事項, 実施した対策などについて報告されている。改良工法に対する問題点としては, (1)圧密試験による圧密降伏応力P_yが現在の土かぶり荷重より相当大きく, q_u値から考えても過圧密状態にある土と考えられたため, この強度を増加させるためにはかなり大きな荷重が必要となること, (2)圧密と強度特性との関係, (3)載荷重撤去後の強度減少に対する設計値のとりかた, (4)軟弱地盤が厚いことによるドレーン下部の粘土層の沈下に対する対処の方法等を考えることができる。施工面からの問題点及びその対策としては, サンドドレーンの砂杭用の砂の決定にあたっては最近, 良質の砂の入手が一段と困難になってきているので, これらの選定にあたっては施工性のみならず, これらの入手の難易等についても十分検討したうえでこれを決定する必要があることが述べられている。また自然圧密工法により, 地盤改良を行うことになった所は, 軟弱土が厚く堆積している区域で, ここに置換工法を用いた場合には大きな置換断面を必要とし, 工費が増大する上, 置換砂の入手に相当な困難が予想されたために, この工法が採用される結果となったことが述べられている。
著者
藤田 圭一 山口 靖紀 木寺 謙爾 島岡 久寿 小間 憲彦
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, 1978

この基礎は鋼管矢板を円形や小判形等の閉鎖形状に打ち込み, 継手部にモルタル等を注入し, 各矢板頭部を鉄筋コンクリートで剛結し, 一体性を高め, ケーソンと同様の効果を得るようにしたものである。最終的に鋼管矢板を閉鎖状に閉合させ, 全鋼管矢板が一体となって外力に抵抗するところに特徴を有するので, 施工上, (1)鋼管矢板を能率的に精度良く確実に, 閉鎖形状に打ち込む。(2)鋼管矢板継手部にモルタルを注入し, 更に矢板頭部をコンクリートで剛結して, 矢板全体の一体性を高めることが必要であるとしている。設計法の基本「矢板式基礎の設計と施工指針」の問題点として, 水平方向地盤反力係数K_<H1>の設計値は(1)基礎部は周辺地盤より1.5m掘削して築造されているため, 周辺地盤に上載荷重が載った様になり, みかけ上K_<H1>が大きくなる。(2)頭部コンクリートと地盤の間に摩擦抵抗が作用している。(3)井筒の中の土は矢板によって完全に閉鎖されているため, 実測値よりも多少小さい。また構造上の問題点として, 各矢板の井筒に対する一体効果, 合成効率について述べられている。
著者
石井 求 斎藤 量 遠藤 毅 山田 信幸 川合 将文 佐藤 安男
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, 1982-12-15

昭和53年の東京23区全域と多摩地区における地盤沈下を報告している。23区の地盤沈下はほぼ全域に認められ, 江東区新砂, 足立区入谷町, 板橋区赤塚の付近で約3cm沈下し, その他の地域は3cm以下である。一方, わずかな量であるが隆起している地域もある。23区の最大沈下量は足立区入谷町の3.92cm, 最大隆起量は江戸川区守喜田町の0.88cmである。低地にみられる地盤沈下の状況を深さ別にみると, 浅層は依然として収縮が続いている。また深層は昭和49年ごろから全般的に膨張の傾向にあったが, 昭和53年は荒川河口付近のみ膨張傾向にあり, その他の地域では収縮傾向へと変わった。多摩地区の地盤沈下はぼ全域に認められ, 保谷市中町, 東村山市恩多町付近で約3cm, 清瀬市の東部で3〜6cm沈下している。その他の地域の沈下量は3cm以下である。清瀬市下清戸二丁目付近の沈下量は5.59cmで都内で最大値である。一方, 羽村町の西部では0〜0.13cm隆起している。地下水位は, 23区の一部で低下しているが, 全体として0.04〜4.57m上昇している。多摩地区は一部を除いて, 0.03〜3.53m低下している。
著者
高瀬 国雄 天野 允 山下 進
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, 1979-06-15

現在, 一般に行われている耐震設計法は静的計算法である震度法によるものである。しかし実際の地震動は動的現象と考えられる。このため, 震度法に代わる動的設計法を見出すために, 新潟地震を対象として, アースダムの地震時の振動性状, 及び土の基本的性質や基礎地盤との関連について考察されている。今回の地震による堤体の被害はクラック, すべり, はらみ, 不同沈下, 付属構造物の被害などである。その内クラックが最も多く発生する場所としては, 堤頂と上流側斜面に多く, 原因としては, すべり破壊による引張りクラックが多いことが述べられている。またすべり・はらみの被害はクラックに次いで多く発生し, 発生場所は上流側斜面に多い。また付属構造物は斜樋・底樋に関する被害が多く発生している不同沈下はほとんどすべりによるものである。被害の受ける状況は, 地質的には, 沖積層, 洪積層などの第四紀層状のものが多く, 堤高が高くなるほど被害率が大きくなり, 水位が高くなると被害率も高くなっている。また完工後10年位までのもの, 改修歴のあるダムは被害率が高いことが述べられている。また上流側斜面勾配がゆるやかで, 下流側斜面勾配が急な断面タイプは被害率が最も小さく, また震度3以下では被害はほとんどない。決壊も数例みられ, これは横クラック, または付属構造物からの漏水による二次的破壊であることが述べられている。
著者
田中 誠一郎 樫村 博 石井 武美
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, 1978-03-15

凍結工法に際して凍結対象地盤に急速な地下水流があるとき, 完全止水の可能な凍結限界流速を知るために行なった実験結果である。縦40・横60・高さ60cmの試料箱に豊浦標準砂を詰め銅製凍結管6本を10cmピッチにそう入し, 水そうから水を自由落下させることによって試料箱中に所定の流速を持つ水流を生じさせる。凍結用寒冷源には液体窒素(LN_2)を用いた。この装置を用いて水流の流速を0m/day〜19m/dayまで変化させ, 凍結止水時間・凍結土の形状寸法・凍結管周辺部の温度を測定した。実験結果によれば, 13.5m/dayまでは流速V(m/day)と凍結止水時間(hour)との間にT=2.0V+3.0の実験式が得られた。流速が13.5m/day以上になると液体窒素の使用量は急激に増大し, 凍結止水までに要する時間も長くなるので実際上は凍結不可能になる。流速と凍結土壁の形状との関係は, 流速が大きいと凍結管下流側に凍結土の成長が著しいことがわかった。
著者
野口 俊郎
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, 1981-12-15

利根川上流部に位置し, 群馬県沼田市と水上町にまたがる最大出力120万kWの純揚水式水力発電所建設(昭和52年着工, 昭和57,58年一, 二期運転開始)の工事概要を報告している。まず, 発電計画の概要を述べ, 次いで建設計画を全般にわたり説明している。発電時の有効落差518m, 揚水時の全揚程559mは, 規模として最大級といえる。玉原調整池ダムは, 中央土質しゃ水型フィルダム型式で, 高さ116m, 堤頂の長さ600m, 堤頂幅12m, 堤体積520万m^3である。ダム基礎は, 後閑層の緑色凝灰角礫岩, 角礫質礫岩, 輝石安山岩から構成され, 一部に断層, シームと節理面に沿った風化変質が認められ対応策がとられている。また, コアゾーン, フィルターゾーン, インナ・アウタゾーンの築堤材料としての各土質性状ならびに施工条件を述べている。地下発電所の地盤は礫岩, 流紋岩質凝灰角礫岩で比較的ち密堅硬で, 概して良好な基礎条件となっている。更に, 環境保全に対する諸施策, 発電所の諸施設の建設工事が概述されている。
著者
海野 隆哉 大植 英亮 岩田 敏雄 村上 生而 武田 寿一 入沢 賢一
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 1984-03-15

橋梁のスパンの長大化などにより, 基礎構造も大規模なものが要求されてきている。ケーソン基礎を用いる場合が多くなっているが, その欠点を補うため, 地下連続壁井筒が開発されてきている。地下連続壁井筒は継手に不安があったが, ここでは, 鋼製函型継手の実験による信頼度と地下連続井筒について, そして設計と施工の紹介をしている。掘削の精度の進歩, 鉛直継手の試験項目, 載荷方法またその継手の, 総曲げ, 曲げせん断, せん断などの試験の結果を示している。次に, 地下連続壁井筒について, これは東北新幹線福島市内での工事例について述べている。設計の基本的な考え方について示し, 設計計質の結果を示している。そして配筋についても述べている。次に施工について, 施工順序を図に示し, 掘削については, 写真を用いて示している。掘削機としては, ロッド式クラムシェルバケット掘削機を用いている。鉄筋かごは, 基礎形からL形になっている。その組立て, 建込みについて述べ, 最後にコンクリートの打設について述べている。工期も短縮できるとしている。
著者
柴田 哲男 大草 重康
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, 1978-06-15

ソ連の土質工学発展の過程と現状を紹介したものである。まず革命前のロシアにおける科学技術の発達とソ連の地盤, 地質条件の特徴を簡単に説明し, ついで1928年から始まる第1次5か年計画以後, ソ連の国土開発とともに発展してきたソ連土質工学における顕著な研究と著書および, 積極的に行なわれていた海外の研究の導入について述べている。次に, ソ連の土質・基礎工学の分野で指導的な役割を果たしている『基礎および地下構造物研究所』の機構と研究方向および研究テーマを紹介し, ついで, 1959年から出版されている論文誌『地盤, 基礎および土質力学』の論文内容, 論文数について述べて研究の動向を示している。最後に, 近年のソ連における研究として, ソコロフスキーの塑性論, ベレザンツェフの極限平衡理論による基礎の沈下計算, スナルスキーの円形基礎下における地盤内応力と変形問題に対する研究, そして, フローリンからザレッツキーに至る力学モデル, およびクイの負の摩擦力の研究, FEMの応用などの特徴的な研究について簡単に紹介している。
著者
村田 浩 浅間 悌作
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, 1974-06-15

地下鉄6号線水道橋工区では, 掘削個所の湧水および漏水を完全に止めることが可能な凍結工法を採用した。このため周辺地盤は安定化するので, 施工はトンネル式とした。凍結区間は23 mであり, 土質は粘土, シルトおよび砂であった。施工場所の地下水流は, 薬品による調査と電気伝導度による調査を併用して測定した結果, 5.7〜7.0 m/日の流速であった。凍結に対する地下水の限界流速は1.0 m/日以下と計算されたので, 凍結開始前に薬液注入(LW)で止水壁を施工した。実際の凍結運転は15か月を要したが, この間の有害な変形や凍土の減少をはかるためには, 施工順序を考慮するとともに真空引き排水を行なったのが有効であった。また凍土の一軸圧縮強さは, 供試体温度が-15℃の場合, シルト質粘土で40 kg/cm^2,砂で100 kg/cm^2であった。以上の結果, 地下水流の影響もなく, 凍土膨張量も最大2 cm程度であった。
著者
鳥取 孝雄
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, 1972-06-15

東京外環状線羽田空港付近のルートは, 空港航空制限の関係からトンネルで計画され, シールド工法で工事が進められている。ルート選定にあたってはできるだけ地上施設を避けるようにしたが, 大小20数件の支障建造物が残った。また本工事に対する既設建造物防護の基本的考え方としては, 1)沈下を許容できない施設, 2)2〜3cmの沈下を許容できる施設, 3)5cm以上の沈下を許容できる施設に大別し, 1)に対しては, アンダーピニング, 場所打ち連続壁, PSアンカー, 2)に対しては, 薬液注入, 3)に対しては, 工事施工後の補修を行なうこととした。モノレール線との交差個所では, モノレール線直下のシールド掘進に先立ち, モノレール線の両側にシールドトンネル上下線を避けて基礎グイを施工し, モノレール線ラーゲル(支柱)直下に鉄筋コンクリート受けゲタを入れて支持する方法をとった。受けゲタの施行法としては, 水平押しかん(かん断面幅18.06m×2.70m)をモノレール線の両側に設けた仮設タテ坑内にセットし, 推力により地山に圧入する水平押しかん工法を使用した。
著者
木宮 一邦
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, 1973-06-15

静岡県大崩地区の地形と地質を説明し, 崩壊の発生状況と関連付けている。大崩海岸における過去6.5年間崩壊事故を表示し, 乾燥係数K, 有効雨量ER, 崩壊誘因雨量Rの定義を行ない, KとRとの関係を図示し, このグラフを検討した結果崩壊に二つの形があることが判明した。すなわち, 乾燥型崩壊と湿潤型崩壊とがある。乾燥型崩壊はRが上昇している時に起こらずRが減少している時に発生している。これは乾燥状態にある岩石はき裂が開口し, そのため, その後に降った雨は地山に吸い込まれる率が多く1回の降雨で地下水圧を上昇させるためである。ただし地下水圧が低いので上昇するに時間がかかるのでRのピーク時と崩壊がずれる原因である。湿潤型はいずれもRが上昇中に崩壊し, このRのピークに先立ってかならずその前兆となるピークが20日以内に存することである。崩壊例とK, Rとの関連から乾燥型および三つの型の湿潤型の四つの型に分類される。これらの型は雨の降り方と関係があり, さらに地下水圧変化を推定して崩壊の予知を行なうことができる。この地区の方法は一般的なものであるから他地区の崩壊地区に利用することが可能である。
著者
後藤 聰 龍岡 文夫 澁谷 啓 金 有性 佐藤 剛司
出版者
The Japanese Geotechnical Society
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.169-180, 1991-03-15 (Released:2008-02-29)
参考文献数
16
被引用文献数
187 304

A simple device named "local deformation transducer(LDT)" was developed to investigate stiffness of soils that can be measured in the laboratory for strain levels ranging from 10-6 to 10-2. The theoretical consideration into the non-linear, but uniquely determined, relationship between the gauge strain (i.e., output voltage) and the axial strain is first described. The accuracy of the strain measurement using LDT is then discussed based on the theory and the results of calibration tests. The stability of the output voltage was examined for a few days using a dummy. In isotropic consolidation tests performed on a fine clean sand in triaxial cells, the internal axial strains measured using LDT agreed well with those associated with the condition of no bedding error, which were extrapolated from the results of tests using the specimens with various heights. Besides, in plane strain compression, the internal axial strain measured using the LDT was close to that determined by means of a laser speckle method. The capability of the LDT has been demonstrated in triaxial tests in which the variations of Young's modulus of a gravel, a cement-treated sandy soil and a soft rock were successfully measured for the prescribed range of strains as the specimens were subjected to both monotonic and cyclic loadings.
著者
浅岡 顕 松尾 稔
出版者
The Japanese Geotechnical Society
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.53-66, 1980-12-15 (Released:2008-02-29)
参考文献数
5
被引用文献数
8 16

This paper intends to give theoretical bases for observational settlement prediction methods which use autoregressive equations. The master differential equation derived is demonstrated to be effective even for a multilayered soil system under gradual load application. The technique for parameter identification of higher order autoregressive equations is also provided and numerical simulations show high applicability of the proposed method.
著者
高橋 豊 前田 勝司 中野 隆一 唐木 邦明 真下 進
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, 1976

標記工法によってその基礎工事が行なわれた大型原油タンクに関して, 貯油開始後5年間にわたって実測されたタンク底板およびシェル部の沈下と, 追跡調査として5年目に行なわれた土質調査の結果が, 工事の前後に行なわれた調査結果との対比において報告されている。これらの測定, 調査結果から以下の事柄が確認されている。1.圧密試験, 沈下解析によると, タンク荷重下での地盤内応力分布に関しては, ブーシネスク式から求めたものは, 実測値から導き出したものに十分対応する。2.実測された沈下曲線等により, タンク荷重のような長い周期での変動荷重は, 長期的には, ある定荷重が作用した時と同様の圧密曲線が得られる。3.タンクと周辺地盤の不同沈下の方向が同一であることから, タンクに発生する沈下は, 基礎底面下の地盤の初期条件の差とともに周辺地盤にも影響をうけることがわかった。また, これらの長期的に測定された沈下は, 地盤改良部以下の圧密沈下であり, これを残留沈下として許容する設計法の妥当性が, 観測, 土質試験によって確認されたとしている。
著者
及川 光男 上村 吉広
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, 1981

NATMによるトンネル(延長190m)について, 事前に行った各種予備試験結果ならびに設計, 施工, 計測の概要を報告したものである。工事地点は, 福島県二本松市の南東3kmに位置するまさ土地帯で, 土かぶり厚は5~10mと薄く, 地上には民家が点在している。まず, NATM導杭予備試験は, 側壁導杭内約17mにわたって実施し, 吹付けコンクリートの施工機種の選定, まさ土に対する付着性, 施工性, ならびに各種アンカー(ロックボルト)の性能について調査している。約9mの上半NATM試験施工では, 施工順序等を検討している。NATM設計は土かぶりが浅い土砂トンネルであることを考慮して, 在来の理論設計法の代りに有限要素解析法で行っている。次に, 施工計画および施工順序を概説しているが, 補助工法として地山の状況に応じてフォアボールを行うことにより, 支保工沈下に効果が認められたと述べている。計測については, 沈下測定, 内空変位, 地山変位, 地山荷重, 吹付けコンクリート応力, ロックボルトの応力を実施し, その測定データと考察を示している。
著者
宗 好秀
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, 1974

近年フィルダムを築造する例が多くなり, 北海道においても戦後, 合計45(完了 : 15,施行中 : 24,計画中 : 6)の多くを数えている。フィルダムとはアースダム・ロックフィルダム・砂利ダムを総称しているが, それはさらに, 均一型, ゾーン型, 舗装型に大別できる。筆者らは, 道内の多くのフィルダム用土の材料試験を行ない, 強度定数などについて多くの提案をしてきている。ここでは, 1)道内フィルダムについて, 完成, 施工中, 計画に分けて分布が示され, 2)築堤用土として道内に広く分布している高含水の火山灰性土について, その特性を明らかにし, 種々の検討をしている。とくに火山灰性土は築堤用土としては劣悪であり施工上は十分に留意する必要がある。その中で, 生試料と乾燥試料とで, 粒径分布曲線, アッターベルグ限界, 締固め試験結果などに, さらにセン断定数などにも大差があり, 具体的な例で十分な留意の必要性を述べている。3)ランダム材として河床砂レキについて, 粒径分布や強度定数から, 築堤にあたっての留意点や強度定数を提案している。
著者
W.F.研究グループ
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, 1976

Wall Foundation試験工事において, 泥水に関して調査を行ない以下の結果を得た。i)試験を行なった現場は砂レキ地盤であり, ベントナイト8.3%の泥水で掘削したが, 泥水はほとんど希釈されず混練直後の性状と変わらなかったが, 2パネルで7.2m^3/Hに及ぶ逸泥があり, 逸泥防止剤としてオガクズ, 綿の実の粉末を加えて防止した。ii)コンクリート打設時の泥水の劣化は現場に比べてわずかであり, コンクリートとの接触面から1m以内の泥水のみが再使用不可能となった。iii)スライムは20時間放置後で30~70cmタイ積し, 4時間放置後に全スライム量の80%がタイ積した。タイ積したスライムの粒径分布は0.02~0.2mmであった。また, 掘り出された壁体グイの底部にはスライムは認められなかった。iv)泥水のコンクリート壁体中への混入は壁の表面から1cmまでに認められるが, 壁の中心部には局部的にわずかに混入するのみであり, この混入によるコンクリート強度の低下は認められない。
著者
吉国 洋 中ノ堂 裕文
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, 1977

三軸圧密試験から粘土の圧密諸係数を求める際, 一般に, Da Silveira解が適用されている。しかし, この解は変形条件を考慮しないTerzaghi理論からの解である一方, 試験結果からはK_0圧密と等方圧密とで圧密速度が異なることが知られている。そこで, 筆者らは, D_3 Silveiraの解をどのような変形条件にも適用可とすることを疑問とし, それぞれの目的に適切な変形条件下における三軸圧密試験での理論解析解を求めている。1)平均鉛直荷重一定条件下でのK_0圧密, 2)半径方向荷重一定条件下でのK_0圧密, 3)荷重一定の条件下での等方圧密, 4)半径方向荷重一定, 鉛直ヒズミ零の条件下の圧密という4種の条件下についての解を無次元表示している。この結果, 三軸圧密試験における圧密速度が変形条件と粘土のポアソン比に依存すること, 1)の条件下でDa Silveira解が成立すること, Mardel-Cryer効果が三軸圧密時に生じること等を結論している。