著者
林 正夫 日比野 敏 本島 睦
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, 1982-03-15

原子力発電所の立地拡大策の一つとして, その有効性の評価が行われている。本報告はこれら地下立地における大規模な地下空洞の安定性について, 岩盤力学上の研究成果をとりまとめている。すなわち, (1)空洞の安定性解析手法の適用性と実証性ならびに信頼性(2)空洞形状の最適化による空洞の安定性の向上と今後の設計(3)双設空洞掘削時の周辺岩盤の緩み相互干渉(4)三つの並列した空洞の周辺岩盤の相互干渉(5)岩盤のかぶり深さが空洞の安定性に及ぼす影響(6)軟岩における空洞の安定性(7)三次元解析によるロックストラットの効果の検討(8)想定事故時の内圧による空洞の安定性(9)水平震度による空洞周辺の応力状態である。既往の揚水式地下発電所で得られた岩盤の物性値, 地圧と想定される空洞の大きさを組み合わせて検討した結果, 原子力発電所地下立地における空洞は, 安定に建設が可能であること, およびそのための技術指針となるべき事項がかなり明らかとなったこと, 今後はサイトに応じた詳細検討を行うことになろうことなどを指摘している。
著者
藤田 圭一 山口 靖紀 木寺 謙爾 島岡 久寿 小間 憲彦
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, 1978

この基礎は鋼管矢板を円形や小判形等の閉鎖形状に打ち込み, 継手部にモルタル等を注入し, 各矢板頭部を鉄筋コンクリートで剛結し, 一体性を高め, ケーソンと同様の効果を得るようにしたものである。最終的に鋼管矢板を閉鎖状に閉合させ, 全鋼管矢板が一体となって外力に抵抗するところに特徴を有するので, 施工上, (1)鋼管矢板を能率的に精度良く確実に, 閉鎖形状に打ち込む。(2)鋼管矢板継手部にモルタルを注入し, 更に矢板頭部をコンクリートで剛結して, 矢板全体の一体性を高めることが必要であるとしている。設計法の基本「矢板式基礎の設計と施工指針」の問題点として, 水平方向地盤反力係数K_<H1>の設計値は(1)基礎部は周辺地盤より1.5m掘削して築造されているため, 周辺地盤に上載荷重が載った様になり, みかけ上K_<H1>が大きくなる。(2)頭部コンクリートと地盤の間に摩擦抵抗が作用している。(3)井筒の中の土は矢板によって完全に閉鎖されているため, 実測値よりも多少小さい。また構造上の問題点として, 各矢板の井筒に対する一体効果, 合成効率について述べられている。
著者
石井 求 斎藤 量 遠藤 毅 山田 信幸 川合 将文 佐藤 安男
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, 1982-12-15

昭和53年の東京23区全域と多摩地区における地盤沈下を報告している。23区の地盤沈下はほぼ全域に認められ, 江東区新砂, 足立区入谷町, 板橋区赤塚の付近で約3cm沈下し, その他の地域は3cm以下である。一方, わずかな量であるが隆起している地域もある。23区の最大沈下量は足立区入谷町の3.92cm, 最大隆起量は江戸川区守喜田町の0.88cmである。低地にみられる地盤沈下の状況を深さ別にみると, 浅層は依然として収縮が続いている。また深層は昭和49年ごろから全般的に膨張の傾向にあったが, 昭和53年は荒川河口付近のみ膨張傾向にあり, その他の地域では収縮傾向へと変わった。多摩地区の地盤沈下はぼ全域に認められ, 保谷市中町, 東村山市恩多町付近で約3cm, 清瀬市の東部で3〜6cm沈下している。その他の地域の沈下量は3cm以下である。清瀬市下清戸二丁目付近の沈下量は5.59cmで都内で最大値である。一方, 羽村町の西部では0〜0.13cm隆起している。地下水位は, 23区の一部で低下しているが, 全体として0.04〜4.57m上昇している。多摩地区は一部を除いて, 0.03〜3.53m低下している。
著者
高瀬 国雄 天野 允 山下 進
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, 1979-06-15

現在, 一般に行われている耐震設計法は静的計算法である震度法によるものである。しかし実際の地震動は動的現象と考えられる。このため, 震度法に代わる動的設計法を見出すために, 新潟地震を対象として, アースダムの地震時の振動性状, 及び土の基本的性質や基礎地盤との関連について考察されている。今回の地震による堤体の被害はクラック, すべり, はらみ, 不同沈下, 付属構造物の被害などである。その内クラックが最も多く発生する場所としては, 堤頂と上流側斜面に多く, 原因としては, すべり破壊による引張りクラックが多いことが述べられている。またすべり・はらみの被害はクラックに次いで多く発生し, 発生場所は上流側斜面に多い。また付属構造物は斜樋・底樋に関する被害が多く発生している不同沈下はほとんどすべりによるものである。被害の受ける状況は, 地質的には, 沖積層, 洪積層などの第四紀層状のものが多く, 堤高が高くなるほど被害率が大きくなり, 水位が高くなると被害率も高くなっている。また完工後10年位までのもの, 改修歴のあるダムは被害率が高いことが述べられている。また上流側斜面勾配がゆるやかで, 下流側斜面勾配が急な断面タイプは被害率が最も小さく, また震度3以下では被害はほとんどない。決壊も数例みられ, これは横クラック, または付属構造物からの漏水による二次的破壊であることが述べられている。
著者
田中 誠一郎 樫村 博 石井 武美
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, 1978-03-15

凍結工法に際して凍結対象地盤に急速な地下水流があるとき, 完全止水の可能な凍結限界流速を知るために行なった実験結果である。縦40・横60・高さ60cmの試料箱に豊浦標準砂を詰め銅製凍結管6本を10cmピッチにそう入し, 水そうから水を自由落下させることによって試料箱中に所定の流速を持つ水流を生じさせる。凍結用寒冷源には液体窒素(LN_2)を用いた。この装置を用いて水流の流速を0m/day〜19m/dayまで変化させ, 凍結止水時間・凍結土の形状寸法・凍結管周辺部の温度を測定した。実験結果によれば, 13.5m/dayまでは流速V(m/day)と凍結止水時間(hour)との間にT=2.0V+3.0の実験式が得られた。流速が13.5m/day以上になると液体窒素の使用量は急激に増大し, 凍結止水までに要する時間も長くなるので実際上は凍結不可能になる。流速と凍結土壁の形状との関係は, 流速が大きいと凍結管下流側に凍結土の成長が著しいことがわかった。
著者
野口 俊郎
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, 1981-12-15

利根川上流部に位置し, 群馬県沼田市と水上町にまたがる最大出力120万kWの純揚水式水力発電所建設(昭和52年着工, 昭和57,58年一, 二期運転開始)の工事概要を報告している。まず, 発電計画の概要を述べ, 次いで建設計画を全般にわたり説明している。発電時の有効落差518m, 揚水時の全揚程559mは, 規模として最大級といえる。玉原調整池ダムは, 中央土質しゃ水型フィルダム型式で, 高さ116m, 堤頂の長さ600m, 堤頂幅12m, 堤体積520万m^3である。ダム基礎は, 後閑層の緑色凝灰角礫岩, 角礫質礫岩, 輝石安山岩から構成され, 一部に断層, シームと節理面に沿った風化変質が認められ対応策がとられている。また, コアゾーン, フィルターゾーン, インナ・アウタゾーンの築堤材料としての各土質性状ならびに施工条件を述べている。地下発電所の地盤は礫岩, 流紋岩質凝灰角礫岩で比較的ち密堅硬で, 概して良好な基礎条件となっている。更に, 環境保全に対する諸施策, 発電所の諸施設の建設工事が概述されている。
著者
海野 隆哉 大植 英亮 岩田 敏雄 村上 生而 武田 寿一 入沢 賢一
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 1984-03-15

橋梁のスパンの長大化などにより, 基礎構造も大規模なものが要求されてきている。ケーソン基礎を用いる場合が多くなっているが, その欠点を補うため, 地下連続壁井筒が開発されてきている。地下連続壁井筒は継手に不安があったが, ここでは, 鋼製函型継手の実験による信頼度と地下連続井筒について, そして設計と施工の紹介をしている。掘削の精度の進歩, 鉛直継手の試験項目, 載荷方法またその継手の, 総曲げ, 曲げせん断, せん断などの試験の結果を示している。次に, 地下連続壁井筒について, これは東北新幹線福島市内での工事例について述べている。設計の基本的な考え方について示し, 設計計質の結果を示している。そして配筋についても述べている。次に施工について, 施工順序を図に示し, 掘削については, 写真を用いて示している。掘削機としては, ロッド式クラムシェルバケット掘削機を用いている。鉄筋かごは, 基礎形からL形になっている。その組立て, 建込みについて述べ, 最後にコンクリートの打設について述べている。工期も短縮できるとしている。
著者
柴田 哲男 大草 重康
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, 1978-06-15

ソ連の土質工学発展の過程と現状を紹介したものである。まず革命前のロシアにおける科学技術の発達とソ連の地盤, 地質条件の特徴を簡単に説明し, ついで1928年から始まる第1次5か年計画以後, ソ連の国土開発とともに発展してきたソ連土質工学における顕著な研究と著書および, 積極的に行なわれていた海外の研究の導入について述べている。次に, ソ連の土質・基礎工学の分野で指導的な役割を果たしている『基礎および地下構造物研究所』の機構と研究方向および研究テーマを紹介し, ついで, 1959年から出版されている論文誌『地盤, 基礎および土質力学』の論文内容, 論文数について述べて研究の動向を示している。最後に, 近年のソ連における研究として, ソコロフスキーの塑性論, ベレザンツェフの極限平衡理論による基礎の沈下計算, スナルスキーの円形基礎下における地盤内応力と変形問題に対する研究, そして, フローリンからザレッツキーに至る力学モデル, およびクイの負の摩擦力の研究, FEMの応用などの特徴的な研究について簡単に紹介している。
著者
村田 浩 浅間 悌作
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, 1974-06-15

地下鉄6号線水道橋工区では, 掘削個所の湧水および漏水を完全に止めることが可能な凍結工法を採用した。このため周辺地盤は安定化するので, 施工はトンネル式とした。凍結区間は23 mであり, 土質は粘土, シルトおよび砂であった。施工場所の地下水流は, 薬品による調査と電気伝導度による調査を併用して測定した結果, 5.7〜7.0 m/日の流速であった。凍結に対する地下水の限界流速は1.0 m/日以下と計算されたので, 凍結開始前に薬液注入(LW)で止水壁を施工した。実際の凍結運転は15か月を要したが, この間の有害な変形や凍土の減少をはかるためには, 施工順序を考慮するとともに真空引き排水を行なったのが有効であった。また凍土の一軸圧縮強さは, 供試体温度が-15℃の場合, シルト質粘土で40 kg/cm^2,砂で100 kg/cm^2であった。以上の結果, 地下水流の影響もなく, 凍土膨張量も最大2 cm程度であった。
著者
鳥取 孝雄
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, 1972-06-15

東京外環状線羽田空港付近のルートは, 空港航空制限の関係からトンネルで計画され, シールド工法で工事が進められている。ルート選定にあたってはできるだけ地上施設を避けるようにしたが, 大小20数件の支障建造物が残った。また本工事に対する既設建造物防護の基本的考え方としては, 1)沈下を許容できない施設, 2)2〜3cmの沈下を許容できる施設, 3)5cm以上の沈下を許容できる施設に大別し, 1)に対しては, アンダーピニング, 場所打ち連続壁, PSアンカー, 2)に対しては, 薬液注入, 3)に対しては, 工事施工後の補修を行なうこととした。モノレール線との交差個所では, モノレール線直下のシールド掘進に先立ち, モノレール線の両側にシールドトンネル上下線を避けて基礎グイを施工し, モノレール線ラーゲル(支柱)直下に鉄筋コンクリート受けゲタを入れて支持する方法をとった。受けゲタの施行法としては, 水平押しかん(かん断面幅18.06m×2.70m)をモノレール線の両側に設けた仮設タテ坑内にセットし, 推力により地山に圧入する水平押しかん工法を使用した。
著者
木宮 一邦
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, 1973-06-15

静岡県大崩地区の地形と地質を説明し, 崩壊の発生状況と関連付けている。大崩海岸における過去6.5年間崩壊事故を表示し, 乾燥係数K, 有効雨量ER, 崩壊誘因雨量Rの定義を行ない, KとRとの関係を図示し, このグラフを検討した結果崩壊に二つの形があることが判明した。すなわち, 乾燥型崩壊と湿潤型崩壊とがある。乾燥型崩壊はRが上昇している時に起こらずRが減少している時に発生している。これは乾燥状態にある岩石はき裂が開口し, そのため, その後に降った雨は地山に吸い込まれる率が多く1回の降雨で地下水圧を上昇させるためである。ただし地下水圧が低いので上昇するに時間がかかるのでRのピーク時と崩壊がずれる原因である。湿潤型はいずれもRが上昇中に崩壊し, このRのピークに先立ってかならずその前兆となるピークが20日以内に存することである。崩壊例とK, Rとの関連から乾燥型および三つの型の湿潤型の四つの型に分類される。これらの型は雨の降り方と関係があり, さらに地下水圧変化を推定して崩壊の予知を行なうことができる。この地区の方法は一般的なものであるから他地区の崩壊地区に利用することが可能である。
著者
林 要一
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, 1980

札幌市地下鉄南北線, 全長2.4 kmにわたる地下鉄延長工事の施工概要について述べたものである。工事対象地の地盤は, 地表面から深度10 mまでは軟弱な有機質土層, 深度10~18 mまではレンズ状に粘土を挾む細砂層, 深度18~20 mまでは粘土層, 20 m以深は札幌扇状地を形成する砂礫層からなる。細砂層, 砂礫層とも地下水で被圧されている。開削工による掘削断面の大きさは, 幅19 m, 深さ22 m, 土留めは深度32 mまでの地中連続壁によって行っている。連続壁の施工ジョイントと配筋に工夫をして, 地中連続壁を, 一部分, 駅部分の本体構造として利用しているのが特徴である。また, 地中連続壁打設後の地盤掘削に際しては, 深度18~20 mの粘土層底面に作用する1.5 kgf/cm^2の被圧地下水圧による掘削面のボイリングやヒービングを防止するために, 深度22 m以深の礫層にディープウェルを打設した。しかし, このディープウェルによる揚水のために, 周辺に存在する1200本以上の井戸が井戸枯れを生じた。市街地における地下水位低下工法の難しさを示す一例である。
著者
斎藤 二郎 西林 清茂 細谷 芳己
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, 1976-12-15

軟弱地盤改良工事にPVCドレーン工法を適用した際の施工実績を主として紹介した。この工事は施工面積約46,000m^2で, 層厚3〜4mの腐植土層およびその下の層厚2〜3mのシルト質粘性土が改良の対象であった。腐植土の含水比は600〜850%, 自然間ゲキ比16〜22と大きく, 圧縮指数も8〜13と高圧縮性を示しており, シルト質粘性土についても含水比70〜130%, 自然間ゲキ比2〜4,圧縮指数0.3〜2.5と通常のチュウ積粘土と同程度となっている。施工に際してまずPVCドレーン打設機のトラフィカビリティー確保とサンドマット造成のためにファゴット工法を適用し, サンドマットとして山砂を50cm厚に敷均したのち, PVCドレーンを1.2mの正方形配置で打設し盛土を2段に分けて行なった。PVCドレーンの打設深さは4.5〜6mで, 施工実日数当り513本の実績であった。改良効果は深さ2m以深において著しく, 改良前のコーン指数約1.5kg/cm^2から約2kg/cm^2増大しており, 含水比では平均で400%前後低下している。また一軸圧縮強さについては改良前の0.05〜0.2kg/cm^2から0.25〜0.5kg/cm^2へと増加した。
著者
植下 協 桑山 忠
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, 1977-06-15

廃棄物として排出されるものは, 家庭からの動植物性の残渣や紙くず・繊維くずなどの都市ゴミから製造業や建設業などからの各種産業廃棄物まで種々雑多である。これらが各種中間処理の実施によって最終処分されるときは, ガレキ類, 土砂類, 脱水スラッジおよび焼却灰類に区分できる。この4種類の最終処分されるときの廃棄物の比重, 強熱減量, PH, コンシステンシー, 締固め, CBR, 圧縮および粒度試験の結果を示し, 埋立て材料としての特性について説明した。次に, 東中島, 榎津および戸田埋立処分跡地を例に, 廃棄物の埋立処分跡地の利用状況と地盤の特性を述べた。これらはいずれも生ゴミにより埋立てられたものであるが, 地盤の沈下が大きい, 強度が不足, メタンガスが発生, 植樹が枯死するなどの問題が生じている。これらの問題のうち, 腐食性廃棄物に起因するものは中間処理態勢の強化により対処できる。また, 跡地利用を考えて, 今まで行なわれてきた投棄処分という考え方を改めて, 廃棄物による盛土土工として十分な管理のもとに埋立て処分を行なう必要がある。
著者
大白 幸夫
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, 1983-12-15

下水道整備の主たる目的は, 生活環境から速やかに雨水・汚水を排除すること, すなわち生活環境の質の向上にあった。しかし各種公害関連法の成立および下水道法の改正により, 下水道は総合的水質保全対策の支柱として, また水質汚濁防止対策上唯一の公共事業として, その位置付けが飛躍的に拡大されることとなった。本文では, まず公共事業としての下水道の普及率, 公害関連法による役割の変化, 地域住民の苦情により遮断緑地, 場内緑化, 覆蓋化等によって処理場の視覚的, 質的イメージの向上を図っている下水道整備の現況を述べている。その中で覆蓋に関して処理施設を現地盤より低い位置に築造した半地下式完全地下式処理場において環境対策や土地の有効利用に関しての実例を挙げて述べている。最後に地下式処理現場の問題点として建設費の増加や, 採光, 湿度・臭気に加えて空気汚染による労働環境の悪化, 温度上昇による機器の耐用年数の短縮, 維持管理費の増嵩などを述べている。
著者
中北 克己
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, 1975-09-15

酸素欠乏とは, 今まで地下水で飽和されていた砂レキ層中に地下水位の低下のため空気が浸透すると鉄塩類が酸化して空気中の酸素をうばい, 極めて酸素濃度のうすい空気ができることをいう。このため空気が流通しやすく砂鉄分を多く含む砂レキ層で起こり, 粘土・ローム層で起こることはまれである。酸素欠乏の状態は無酸素の地層を掘れば必ずといってよい位い起こり, 近くで圧気工法が行なわれている場合や低気圧通過時には特に危険度が高い。また古井戸や古い建物の地下室, マンホールなどへ入るときも注意を要する。対策は次のとおりである。(1)検知器を使用し, 酸素濃度21%以下となったら作業を中止する。(2)送風機によりたえず新鮮な空気を送る。停電の対策も考慮する。(3)非常用の空気ボンベ, マスクを用意する。万一事故が起きたら無防備で現場へ近づかないことで, 至急に救急車を呼んで処置をしてもらうのがよい。
著者
斎藤 政義 木寺 謙爾 福屋 智亘 戸井田 浩
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, 1979-03-15

鋼管杭の表面にアスファルトすべり層(平均厚2.0mm)とその保護層(厚1.5mm以上)を塗布しネガティブフリクションの低減をはかるNFパイルの紹介である。扇島現場における900日の観察結果ではφ609.6×9.5mm, 長さ42mの鋼管杭の最大軸力は無処理の場合に240t/本, NFパイルでは35t/本となり効果が認められた。この敷地の900日間の沈下量は約30cm, 地盤沈下を生じている地層の厚さは約30mである。NFパイルの設計用周辺摩擦力は扇島の場合に0.6t/m^2であるが, 地盤沈下速度などによりこの値は異なるものとなる。砕石や転石の埋立て土層を持つ沖積層の敷地8か所での打込み・引抜き試験の結果では保護層にかすり傷が生じたもののアスファルト層は無事であった。また打込みによる保護層のずれは数mm以下で実用上支障ない。各杭の先端にはフリクションカッターがついているが, 打込み時の抵抗は無処理杭と同じであった。1年間の屋外暴露試験や強制吸水試験の結果, アスファルトの粘度に大きな変化は見られず耐久性についても実用上問題ないと考えられる。
著者
橋本 博 高木 薫
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, 1980-12-15

方向性水圧発破とは, 発破に水反射体を使って, 全体として水で爆力を制御しつつ, 発破エネルギーに一定の指向性を与えるものである。この発破による圧力波形は管軸に直角の方向にだ円形をなす。このだ円形の長軸の方向と一致して並べたせん孔の方向性水圧発破は, 岩盤をラインカットすることができる。これによって発破エネルギーは制御され, 一定の指向性を与えられる。これをトンネル工事におけるNATM工法の掘削に応用すれば, 地山のスムースブラスティングによって吹付けコンクリートやロックボルト工に対して, 地山表面を平滑にし, 地山を傷つけない。これにより地山支保材の密着がよくなり, 空隙をなくし, 受働土圧を期待できる。また, これにより掘削断面を在来工法の場合より多少小さくできる。また, 浮石処理の手間が減り, 落石・落盤事故を防ぎ, 飛石少く低振動発破ができる。また平行せん孔発破であるから, せん孔, 装薬, 発破が合理化され, 在来のトンネル工法に比べ安全で工費が1割安くなる。
著者
福岡 正已
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, 1979-03-15

本文は建設省の新四ツ木橋事故調査委員会報告書の要約である。新四ツ木橋事故は, 一般国道6号線の荒川放水路にかかる新四ツ木橋(延長547.8m, 幅員16.25mの道路橋)の7号橋脚の仮締切りをリングビーム工法によって行い, 7段目のリングビームを設置するため土を掘削中, 仮締切りが破壊して, 発生したものである。この事故について, 本委員会は多くの調査を実施したが, 事故にもっとも深い関係を有すると思われる2つの因子について, 特に詳細な検討を進めた。(1)外力の大きさと, その作用状態について : 円形に打った鋼矢板の外側に働く圧力は, 設計に用いた値とほぼ等しかったものと判断される。(2)仮締切り構造の耐荷力について : 鋼矢板とリングビームで構成されたリングビーム工法による仮締切り構造の耐荷力は, 主としてリングビームの座屈耐力によって支配されることが明らかにされた。本委員会はこれらの結果を総合して, 6段目リングビームの作用軸力がその座屈耐力を超過して, 事故が発生したとの判断に達した。