著者
菅原 清康
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.23-29, 1975-09-25

1.本研究は,さきに明らかにした酸度の強弱による雑草の分類を基礎として,土壌酸度を顧慮して雑草樽落を数であらわす方式をとるに当って,合理的な採土の時期,深さ,個所数ならびに一検体の反覆測定数を究明しようとしたものである。2.地下5cmの深さから採土し,通年酸度の測定を行なった結果,砂土からなる未熟畑および火山灰黒ボク地帯の原野では,年間の変動幅がきわめて小さい。また,関東ロームの未熟畑,洪積埴土地帯の熟畑,火山灰黒ボク地帯の熟畑,未熟畑では,耕起直後と8月が著しく酸度が弱まる。したがって,雑草植生と土壌酸度との関係を調査するに当って,前者はとくに調査時期を考慮する必要はないが,後者の畑地では,8月の調査をなるべく回避した方が無難であるようである。3.火山灰黒ボクおよび洪積埴土両地帯の原野では,深度にとも在って酸度は弱まるが,その程度はきわめてわずかである。また,両土壌地帯の熟畑,未熟畑とも大型機利用ではおおむね地下25〜30cm,小型機利用では15〜20cm程度までの酸度の相異は小さいが,それ以下の深さでは強酸性を示す。これらの事実から,採土は作業能率などを考慮し,深度5cmから行たって何ら差支えがないものとみられる。4.1プロット4m^2程度の比較的小面積の規模では,採土地点を5カ所として一検体を調整し,また,一検体の酸度測定を5反覆程度として,その平均値を求めればよいようである。5.本研究の酸度測定の結果,畑地における雑草の植生は,おおむね地下20〜30cm間までの土壌の酸度の強張によって決定されるもののようである。

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