著者
相馬 正之 吉村 茂和 寺沢 泉
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.119-123, 2004-04-20
被引用文献数
4

本研究の目的は,若年者と中,高年者で遊脚相中における禄趾と床が最小となる最小拇趾・床問距離に至る時間と全遊脚相時間の関係および最小拇趾・床間距離が加齢の影響を受けるかどうか明らかにすることである。被検者は健常女性,若年群が20歳代30名,中高年群が50歳代10名,60歳代10名,70歳代10名とした。測定項目は基本的な歩行データと最小拇趾・床問距離,全遊脚相時間などとした。結果,若年群と比較すると高齢群では速度および歩幅,全遊脚相時間が有意に低下していた。また,最小拇趾・床間距離の値は,若年群,高齢群共に17.3〜18.2mmで差が認められなかった。全遊脚相時間も同様に0.37〜0.39sec,つま先離れから最小拇趾・床問距離に至るまでの時間が0.13〜0.15 secに収まっていた。このことから,最小拇趾・床間距離は,快適歩行下で加齢の影響が認められず,高齢者においても保たれていることが明らかになった。高齢者では,加齢の影響により歩行能力の低下が明らかにされている。しかし,最小拇趾・床間距離において加齢の影響が認められなかったことは,高齢者が最小拇趾・床間距離の低下を個人の機能に見合った何らかの補償を行うことにより,最小拇趾・床間距離に差が認められなくなった可能性が推測された。

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