- 著者
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林 典雄
立木 敏和
- 出版者
- 日本理学療法士学会
- 雑誌
- 理学療法学 (ISSN:02893770)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.8, pp.522-527, 1996
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
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1
解剖実習用遺体7体(男性4体,女性3体)7肩(右側5肩,左側2肩)を対象とし,後方腱板(棘下筋,小円筋)と後方関節包との結合様式について肉眼的に観察した。棘下筋と後方関節包との間には,筋線維による直接的な連絡は認められず,関節包を裏打ちするがごとく疎性結合組織によって密着していた。小円筋と後方関節包との間には,小円筋の関節包側の筋線維が腋窩陥凹部後方から関節包後下方にかけて直接付着する所見が認められた。棘下筋の機能として,後方関節包の後方からの支持機能および,自身の収縮力を効率よく大結節へと伝達する支点形成機能が考えられた。小円筋の機能として,大結節へと停止する線維群による支点形成機能の他に,関節包側の筋線維群による肩関節外旋運動時の挟み込みの防止および肩関節挙上時における静的支持機構の補助機能が考えられた。