著者
島田 裕之 内山 靖
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.38-46, 2001-03-31
被引用文献数
17

高齢者に対する運動介入を行い, 姿勢バランス機能が向上するかを検討し, 運動の種類の違いによって改善する機能に特異的な反応が生じるか明らかにすることを目的とした。対象は施設を利用する後期高齢者34名(平均年齢80.8±6.6歳)で, これらの対象を無作為にコントロール群, 静的バランス練習群, 動的バランス練習群に分類した。運動による介入は週2から3回の頻度で12週間継続して行った。バランス検査は全被検者に対し運動開始前, 終了時, 終了から12週間後に行った。介入群では静的・動的バランス検査, 歩行検査, 応用動作検査の全ての要素に関して機能の改善が認められ, それらの多くの機能が運動終了後にも保持されていた。コントロール群では, 最初の12週間で機能変化は認められなかったが, 24週後には姿勢バランス機能の低下が認められた。また, 介入の方法によって改善する機能は変化し, 静的バランス練習では片足立ち保持時間の延長やFunctional Reach Testの向上が認められた。一方, 動的バランス練習ではTimed Up and Go Testにおける歩行時間の短縮と, 階段を降りる所要時間が短縮した。本研究の結果から, 維持期高齢者に対する運動介入は効果的であり, 改善する機能は運動の種類に対応することから, 総合的な評価を行うことで効率的な運動処方の作成が可能であると考えられた。また, 両群に共通してFunctional Balance Scaleが改善し, 介入の効果判定に有益な指標となる可能性が示唆された。

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CiNii 論文 -  高齢者に対する3ヶ月間の異なる運動が静的・動的姿勢バランス機能に及ぼす影響 http://t.co/5fetanZINP #CiNii

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