著者
元山 幹雄
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.761-764, 1996-03-20
参考文献数
5

中神琴渓の睡眠時遊行症の治験に倣い甘草瀉心湯を投与し奏功した症例を経験した。 症例は60歳, 男性, 会社員。 主訴は, 夜, 寝ている時に大声で怒鳴る, 無意識に起きて部屋の中を歩き (走り) 回る。 家族歴は特記すべきことなく, 既往歴は昭和46年, 腰椎椎間板ヘルニア手術施行。 現病歴は昭和59年頃から主訴が見られたが放置していた。平成元年, 近医, 及び総合病院の精神科を受診, 諸検査を行ったが診断ははっきりしなかった。 安定剤の投薬を受け, 主訴は一時的には軽くなったが長くは続かなかった。 平成6年2月2日, 成人病健診の再検査のため会社診療所を受診, 症状は続いてみられていた。現症は腹診で軽度の心下痞硬, 胸脇苦満を認めた。 治療経過は2月16日, 甘草瀉心湯を投与。 服薬後, 1週間位で徐々に効果が現れ, 夜, 大声で怒鳴ること, 歩き回り物を投げつけることはなくなった。

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