著者
鈴木 誠
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.421-424, 1997-03-28

宮澤賢治の残した「装景手記手帳」と『「装景手記」ノート』の詩句草稿を検討対象とし,賢治のとらえた「造園家」と「装景家」の概念について考察した。賢治は広義の「造園」に同じ意である田村剛の用いた「装景(Landscape Architecture)」のもつ意味を認識しつつ,詩「装景手記」の構想を発想したこと。「この国土の装景家たちは/この野の福祉のために/まさしく身をばかけねばならぬ」という一節に感じる,賢治が思ったランドスケープ・アーキテクトという職能の重要性。そして,園芸や造園にも興味を持ち,語感の優れた宮澤賢治でさえ,1927年当時に「造園」「造園家」の役割,職能の重要性を感じつつも適切な呼称に迷っていたことを指摘した。

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