- 著者
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堀 賢
- 出版者
- 順天堂大学
- 雑誌
- 順天堂医学 (ISSN:00226769)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.2, pp.166-173, 2004-06-30
- 被引用文献数
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インフルエンザの流行は高齢者集団や,心臓血管系または呼吸器系に慢性基礎疾患のある患者にきわめて重大な影響をもたらす.適切なワクチンプログラムは,インフルエンザに感染した患者を治療するより安価にかつ効果的に流行をコントロールできる.インフルエンザの流行を払拭するために様々な取り組みが行われているにもかかわらず,豚などの家畜体内でトリ由来とヒト由来のウイルスが自然に遺伝子交雑を起こすために,毎年冬季には定期的な小規模流行が発生する.しかし数年に一度,大きな抗原性の変化を起こした新型ウイルスが誕生し,大規模流行へと発展することがある.香港とベトナムで発生した高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)は,久々に出現した人類への新しい脅威となりうるウイルスである.現在ではヒトからヒトへの伝染は報告されていないが,高い致死率ゆえに遺伝子交雑による変化の結果,将来的にヒトで大流行を起こす可能性がある.本稿では,インフルエンザの疫学・臨床症状・合併症・診断・予防手段について,トリとヒトのインフルエンザについてそれぞれ解説する.