- 著者
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渡辺 邦洋
小川 裕作
板垣 昌幸
常盤 和靖
- 出版者
- 公益社団法人日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.3, pp.163-169, 2006-03-05
必要試料量がnlレベルであるキャピラリー電気泳動法により,高温酸化物超伝導体中のTlの価数分析法を開発した.四ホウ酸ナトリウム十水和物を泳動液に用い,アコイオン自体に紫外吸収を示すTl(I)はTl^+として印加電圧25.0kVで泳動させ,波長215nmでUV法により直接検出した.塩酸に溶解させているTl(III)はTlCl_6^<3->として印加電圧-30.0kVで泳動させ,波長242nmで直接検出した.共存イオンはイミダゾールを用い,間接紫外吸光法により定量した.実試料は,Tl系高温酸化物超伝導体0.20mgを0.01MのHClに溶解させて用いた.測定した2種類の試料はともに97%がTl(III)という結果になった.本法を用いることで従来の方法よりも必要とする試料量を約20分の1に下げることができた.