- 著者
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大澤 史伸
- 出版者
- 聖隷クリストファー大学
- 雑誌
- 聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要 (ISSN:13481975)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, pp.49-58, 2005-03-31
近江兄弟社グループ(本部:滋賀県近江八幡市)は、明治43(1910)年にアメリカ人であるW・M・ヴォーリズ氏(以下、ヴォーリズと略す。)によって誕生した。ヴォーリズは近江兄弟社のミッション(使命)である「信仰と事業の両立」を実現するため、商売で儲けた資金を社会奉仕に投入する。こうして、近江兄弟社グループは、現在までに、企業(家庭常備薬「メンソレターム」(現・「メンターム」)の販売、建築設計事務所)、教育活動(幼稚園から高校)、医療保健福祉活動(ヴォーリズ記念病院)、文化伝道奉仕活動等を擁する一大グループ事業団体となった。しかし、ヴォーリズの死後、その中心的な働きを担っていた株式会社近江兄弟社は事実上の倒産をすることになる(その後、近江兄弟社は、奇跡的な復活を果たす)。近江兄弟社グループの事例は、創業者の精神をどのように継承していくのか、ミッション(使命)とマネジメント(運営管理)の評価の大切さと組織作りの重要性について私達に教えてくれる。