著者
武中 美佳子 岡井 沙智子 小原 依子 井上 健
出版者
関西学院大学
雑誌
臨床教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.43-55, 2005-03-25
被引用文献数
1

本実験では,心拍数に合わせたテンポのリズムを聴取することによる,同期現象,気分誘導について,さらに,被験者の精神テンポおよび音楽の嗜好との関連性について生理的および心理的影響を調べた。テンポは心拍数と同じ,速い,遅いの3種類,生理指標は心拍変動,脳波である。また,実験前後に精神テンポ,STAI,血圧および心拍数の測定を行った。精神テンポはタッピングで測定した。結果として,+60%でHF/totalが低く,LF/HFおよび変動係数が高かった。-60%および心拍テンポではHF/totalが高くLF/HFが低かった。また,-60%では「のんびりしている」,「体の力が抜けている」,「遅い」などの得点が高く,心拍テンポではα波相対パワーおよびα波ピーク周波数が最も高く,変動係数が最も低かった。精神テンポによって2群化して行った分析においてもほぼ同様の結果が認められた。また,精神テンポと心拍数に相関はみられなかったが,精神テンポが有意に速かった。よって,心拍数に合わせたテンポや精神テンポよりもやや遅いテンポが,リラックスし,副交感神経優位の状態をもたらすと考えられる。音楽の嗜好の点では,覚醒的音楽を好むグループでは,交感神経優位の状態,気分の高揚を求め,鎮静的音楽を好むグループでは,副交感神経優位の状態,心身の弛緩を求めていると考えられた。また,精神テンポは生理機能に由来するものではなく,各々固有のものであり,気分や環境によって変動すると推察された。

言及状況

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

Twitter (10 users, 12 posts, 4 favorites)

@wired_jp 音楽と心拍数や身体的リズム(したがって心理的リズム)は近い関係があるから低音に注力するのは当たり前っちゃあ当たり前 https://t.co/KXIzr1eTgt
@lirac_ovo_8ruko ここの論文に似たような事が書いてあるので「v,要約」だけでも見てみるといいかも https://t.co/APFCW3eD0r
@rissinben317 そういった関係の論文はネットでもちょこちょこ見つかるな。http://t.co/ZUmldqBssf まぁそういう傾向が有る、程度の話だと思うけど。

収集済み URL リスト