- 著者
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鈴木 輝好
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 經濟學研究 (ISSN:04516265)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.4, pp.29-40, 2004-03-09
生命保険会社が取り扱っている企業年金には額面保証や利率保証、特別配当といった仕組みがある。本稿は、これらの仕組みをどちらか一方が行使可能な永久アメリカン・プットオプションと永久アメリカン・コールオプションの組み合わせとして定式化し企業年金保険の価格を解析的に導出した。その際、保険会社にデフォルトの可能性がありデフォルト時にはペイオフが減額されることを考慮に入れた。その結果、いくつかの数値例から、企業年金保険の価格はデフォルトリスクの影響を受けにくいが逆に最適解約戦略はその影響を大きく受けること、および運用フィーを控除した基金のネットの受け取り利息は委託先が投資適格級の生命保険会社であればその格付けの違いからは大きな影響を受けないことが分かった。また、アメリカン・コールオプションとして定式化される価格上昇時の解約を考慮に入れないと、場合によって企業年金保険は解約に際して違約金の生じる永久利率保証契約にすぎないことを解析的に示した。