- 著者
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光延 忠彦
- 出版者
- 千葉大学大学院社会文化科学研究科
- 雑誌
- 千葉大学社会文化科学研究 (ISSN:13428403)
- 巻号頁・発行日
- no.11, pp.1-15, 2005
今日、政党政治は支配的な統治理念として広範に流通しているにも拘わらず、「勝利」したはずの政党政治は、都政において諸問題に直面し、閉塞感に覆われている。都知事選挙は1947年の選挙以来、政党候補が勝利して政権を担うという状態の継続にも拘わらず、こうした状態は90年代に入って変容した。91年選挙では主要政党の候補が無所属候補に敗退し、95年選挙では無党派候補が勝利して、政党候補の勝利は80年代で終焉した。また、都議会議員選挙でも投票率の低下、政党支持なし層の増大、政党による絶対得票率の減少等々、いくつかの指標において政党支持は流動化し、政党政治は魅力に欠けた存在になりつつある。これらは政党機能の衰退すら印象付ける現象である。本稿は、政策形成を通して80年代中期以降90年代前半期にかけての都政に接近し、政党配置における構造に政治的条件が加算されて、以上の事情がもたらされるという興味深い結論を導く。