著者
石塚 倫子
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 : 人間環境学研究所研究報告 : journal of Institute for Human and Environmental Studies (ISSN:13434780)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.65-75, 1998-03-31

AD43年、ローマ人のブリタニア征服以来、都市として着実に発展してきたロンドンは、16世紀末には世界に誇るメトロポリスとなっていた。シティと呼ばれる市壁の内部はイギリス経済の中枢として機能し、一方、市壁の外側の隣接区域には、大都市の必要悪とも言える施設(酒場、売春宿、劇場、精神病院、らい病院、処刑場、牢獄など)が寄り集まっていた。特にテムズ川南岸のサザックは「リバティ」と呼ばれ、複雑な権力関係が錯綜していたため逆に無法地帯と化していた。サザックにはシティからはじき出された浮浪者、犯罪人、失業者、得体のしれない外国人等が集まり、歓楽と危険、解放と無秩序が入り乱れた特殊な世界となっていた。しかし、都市ロンドンはこの周縁の地に、穢れたもの、忌まわしいものを引き受けてもらうことで、内部の秩序を保っていたのである。シティとサザック-この二種類の地域は文化における中心と周縁の関係に相当し、互いに緊張関係を保ちながら都市ロンドンを支えていた。特に大衆劇場は周縁に位置し、当時の都市文化を裏側から照射する場でもあった。ここでは、シェイクスピア劇を中心に大衆劇場の周縁性と意義について論じてみた。

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こんな論文どうですか? 都市と周縁文化 : エリザベス時代におけるロンドンの劇場(石塚倫子),1998 http://id.CiNii.jp/TSEJL

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