著者
糸島 陽子
出版者
京都市立看護短期大学
雑誌
京都市立看護短期大学紀要 (ISSN:02861097)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.141-147, 2005-09-01
被引用文献数
1

本研究は,看護学生と大学生の死生観形成要因を比較し,今後の看護教育における死生観育成について検討することを目的とした。その結果,1.自我同一性の形成時期と死生観尺度得点においては,看護学生・大学生間で差はみられなかった。 2.各年代で<生>と<死>を考える授業は,学生の死生観形成に影響を与えることが期待できる。3.死別経験をした学生は,死はすべての終わりではなく,生きている人間の間で生き続けていくなどの【不死感・死後の世界観】を形成する傾向がみられた。4.看護学生は,死別経験の有無に限らず,看護教育の特性により,生きるということは運命であるなどの【人智を超えた生命観(人間の力の及ばない生死に関すること)】が形成される傾向がみられた。以上のことから,看護教育において,看護学生が終末期看護や死別経験をした時々に生じる感情を大切にし,意識化させながら,ひとりひとりが,一人称・二人称・三人称の<生>と<死>の意味を円環させ考える教育は,死生観を育んでいく上で重要である。

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