著者
小島 健
出版者
立正大学
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.105-129, 2005-03-20

1993年の憲法改正によってベルギーは連邦国家に移行した。ベルギーの連邦化は第二次大戦後の国内における地域対立の激化と地方自治要求の高まり、ヨーロッパ統合の進展など国内外の環境変化に対応したものであった。本稿はベルギー建国以来、劣位におかれてきた北部フランデレンの発言力向上、2度の世界大戦による影響に留意しながら、1970年の戦後最初の憲法改正以来、4度の憲法改正によって徐々に形成されたベルギー連邦制の歴史的意味を考察することを目的とする。また、本稿では、ベルギー連邦制がヨーロッパ統合の進展と同時進行的であったことに注目して、ヨーロッパ統合の議論における連邦制につながる地方自治の要求の高まりについても考察する。この点については、まずヨーロッパ審議会で採用され、ついでまーすとりひとじょうやくにもとりいれられた「補完性原理」受容の過程に即して検討する。

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