著者
上松 一
出版者
弘前大学21世紀教育センター
雑誌
21世紀教育フォーラム
巻号頁・発行日
no.1, pp.17-33, 2006-03-31

実践的英語運用能力の重要性が強調され、授業も改良され始めてはいるが、日本の英語教育現場では未だに「正確に読んで訳す」ことが主流である。教師も学習者も、多くがこの固定観念の呪縛から解放されず、このことが往々にして学習者を萎縮させ、彼らをして「英語はつまらない。」と言わしめ、英語で意思疎通ができない学習者を量産し続けている結果に繋がっている。この否定的状況を打破するためには、教師は知識の伝達者として英語を「教える」ことを止め、学習者が自立して学習に取り組めるよう支援し、手助けするfacilitator となる必要がある。その際、教師のみならず、学習者共々、英語をその本来の機能である意思疎通のための言語として尊重し、使用する必要がある。そうすることにより、学習者のみならず、教師自身も、英語の授業に喜びを見出し、自由を感じ、教師は自立した学習者の能力を信頼し、学習者は教師を信頼し、自らの能力を信頼する。これは教師にとっても、学習者にとっても、英語学習の喜びと自由の獲得へのチャレンジである。

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