著者
高井 和夫
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.39, pp.43-50, 2005

子どもの体力低下現象は先進諸国共通の問題であり,わが国においては中教審答申(平成14 年)に認められるように,昭和60 年ごろから子どもの体力低下傾向が現れ,現在その総合的な対策の必要性が求められている.本稿では,子どもの運動行動を支える要因について最近の研究成果を概観するとともに,その対策につながる代表的な介入研究を取り上げることで,わが国における今後の教育・研究および実践の方向性を展望する.また,幼少年期の運動との関わりへの理解を深めるため,子どもの体力の現状と推移,および体力テスト法についての動向をまとめている.先行研究の知見を踏まえると,児童期および青少年期の子どもの運動行動との関わりは,発達諸側面の急進期であるがゆえに成人期のそれ以上に複雑であるが,直面する体力低下への対策としては運動に関わる個人と環境の関連性を多層の次元から支援するアプローチが有効であると示唆される.

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