8 0 0 0 IR 仮装と心理

著者
伊地知 美知子
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.55-64, 1998-12-20

実際に「1日仮装」を行った大学生34名に対して仮装後にアンケート調査を実施し、仮装による気分の変化について考察した。調査内容は、何に仮装したか、その理由と衣装および道具、仮装時の気分、性格などである。仮装時の気分については楽しかった、陽気になった、活動的になった、無邪気になったなどへの反応が多く、弱気になった、真面目になった、臆病になったなどへの反応は少なかった。これらの反応の平均評定値を因子分析した結果、陽気、臆病、安心の3つの基本因子が抽出された。各因子の因子得点をもとにクラスター分析を行い、被験者を4つのグループに分け、それぞれのグループの特徴を明らかにした。また各因子の因子得点と性格評定値との間で相関分析を行った結果、陽気の因子と好奇心および情報要求、安心の因子と自己顕示欲の間に統計的な有意性が見られた。
著者
八藤後 忠夫 水谷 徹
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.79-86, 2005-12-20

近年急速に進歩しつつある先端科学・技術は,私たちの生活を一層利便性の高い豊かなものとしている.しかし一方では,特に医学・医療において診断・治療・予防のいずれの段階においても「社会における人間像」や「死生観」に抵触すると思われる側面も増大している.本稿は,これらの問題に関して,古代社会以来連綿と続いている優生思想の歴史的変容を概観し,検討した.その結果,出生前診断や着床前診断と選択的妊娠中絶においては,「障害者の生存権の否定」傾向に強く影響を及ぼしていることが確認された.このことは教育のあり方全般にも大きく影響を及ぼしていると推測され,その実践の一つとして今後の学校教育・社会教育全体に大きな課題を与えていると判断する.特に,障害児教育においてはその教育内容に更なる「内容の質の高さ」が求められていると考えられる.
著者
千葉 聡子
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.47-58, 2000

本稿では、子どもの社会化機能の強化が教育問題との関連で家族に求められている現状を踏まえ、近代家族の基本的機能である「成員の情緒的安定機能」と「子どもの社会化機能」の遂行状況を官庁による調査データを用いて検討することを第一の目的とし、「成員の情緒的安定機能」の強調と「子どもの社会化機能」の弱化を確認した。またこうした家族の機能の変化の確認から、近代家族の二つの機能にはそもそも並存が難しい要因が含まれており、社会による個人のコントロールの方法に変化が生じている、という仮説を提示した。
著者
廣瀬 友介 中本 敬子 蛭田 政弘
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.45-56, 2013-03-01

大学生を対象とした質問紙調査により、数学の学習における学習観、公式観、ならびに学習方略の関係を検討した。その結果、数学の学習観については、意味理解志向と、学習量志向の2因子が得られた。また、公式観については、公式への困惑、暗記偏重、導き方の意義重視の3因子が得られた。学習方略については、要点理解方略と反復演習方略の2因子が得られた。これらの因子間の関係について、構造方程式モデリングによる検討を行った。その結果、意味理解志向の学習観は、公式の導き方を重視する公式観を通して、要点理解方略、反復演習方略の双方に正の影響を持つこと、学習量志向の学習観は、暗記偏重の公式観を通して公式への困惑に結びつくこと、また暗記偏重の公式観は反復演習方略の使用にのみ正の影響を持つことが示された。また、公式への困惑は2つの学習方略の両方に負の影響を持っていた。以上から、数学学習への学習観の影響について考察を行った。
著者
黒坂 裕之
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.26-33, 1994

人文地理学の環境としての気候の記述においては,主に平均値や出現頻度の多い現象が記載の中心となっていることが多い.しかし,出現頻度は少なくとも,社会的・経済的影響の大きな気象現象は重要な事項である.例として,温暖地における降・積雪があげられる.関東地方の温暖地である千葉県内では大雪注意報・警報ともその基準値は非常に小さく,雪害対策が不可能であることを示唆している.千葉県の雪害は南岸を低気圧が接近して通る1月中旬から2月下旬に発生しやすい.過去25年間で見ると,年平均0.86回の雪害が発生している.また,2月に発生した災害の38%を占めている.積雪による被害は農業のみならず,交通障害などを引き起こし,生活や他の産業への影響も大きい.このように,出現頻度や発生時の多方面にわたる影響から考えて,千葉県における雪害は県の気候誌に記載すべき重要な要素と考えることができる.
著者
加藤 一郎
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.95-112, 2003-12

Ĝis la nuna tempo la tradicia holocaŭsta historiografio, kiu rekte frontis kontraŭ la manko de la fizikaj kaj dokumentaj atestaĵoj, skribis la hisotorion de Holocaŭsto, bazitante sin sur la teorio de "koda lingvo" kaj "vidantaj testamentoj". La franca studanto, J.-C. Pressac kritikis tiu ci metodologion de la tradicia holocausta historiografio. Sed, aperis multaj kontraûdiroj en liaj verkoj, ĉar li klopodis eviti la revizionistan konkludon kaj defendi la holocaŭstan ortodoksan historion.
著者
成田 奈緒子 原田 ゆかり 樋口 大樹 田副 真美 成田 正明
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.81-89, 2011-12-20
被引用文献数
1

前頭葉の実行機能のひとつである抑制機能は,生後発達する高度な脳機能として知られている.今回,この抑制機能の向上に有効であるとされるじゃれつき遊びを,特別支援学級児童,及び成人ボランティアを対象として行った.その前後で抑制機能を要するストループ課題を施行し,その得点の変化により,じゃれつき遊びの前頭葉抑制機能への影響を検証したところ,児童,成人いずれにおいてもじゃれつき遊び刺激により,ストループ課題得点の増加が認められた.さらに成人においては,じゃれつき遊び特異的な増加も認められ,これらの結果より,じゃれつき遊びは前頭葉抑制機能の賦活に寄与することが示唆された.
著者
三木一彦
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要
巻号頁・発行日
vol.2003年度, no.37, 2003-12
著者
梶原 洋子 樽本 つぐみ
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.32, pp.23-31, 1998-12

更年期をよりよい状態で生存するための方策として、日常の運動習慣が如何なる影響を及ぼしているのかを検討するために、ランニングを取り上げ、更年期に当たる女子ランナーの不定愁訴や気分の特徴などを、同年齢の一般女性と比較し、以下の結果を得た。 更年期にあるランナーは年齢に有意差のない健常な一般女性に比べて、更年期障害およびその中等度以上の有症状の発症頻度は有意に低値で、POMSからみた気分の状態もランナーの方が良好とされる典型的な氷山型のプロフィールを示し、メンタルヘルスも良好なことが窺われた。また、更年期の女性ランナーは低年齢の実業団選手に比べて「憂鬱」の尺度が有意に低値で、POMSのプロフィールもエリートランナーと同様に、良好なプロフィールとされる氷山型を示した。すなわち、現在のライフスタイルの中にランニングという身体活動を習慣化し、じょうずに構築している女性ランナーは心身ともに健康的で、ランニングがquality of life (QOL)の向上に好影響を及ぼしていることが明らかになった。
著者
石川 洋子 井上 清子 会沢 信彦
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.39, pp.51-62, 2005

本研究では,保護者対応の基礎的なスキルとなるカウンセリングに対するニーズについて,子育て支援に関わる保育者達への調査と保育雑誌の保護者対応記事の分析を行い検討した.その結果,保育者達が,特に保護者対応に問題を感じ,対応に苦慮していることがわかった.また,保育者達のカウンセリングに対するニーズは高く,年齢や勤務年数,役職に関わりなくこれが求められていることもわかった.カウンセリングの研修会への参加については,研修会の情報や機会がなかったり,時間や参加費の問題等が指摘されていた.研修会に参加した者が,参加していない者よりも有意に外部の専門家や機関に相談することができていた.\n研修の機会を増やし,その情報を数多く提供することは,子育て支援にあたる保育者達の保護者対応をスムーズにし,また問題や困難を感じた時の相談や対応のネットワークを構築することにもなる.保育者間の関係構築のためにもカウンセリングが求められており,保育者支援にもつながると思われた.
著者
高井 和夫
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.39, pp.43-50, 2005

子どもの体力低下現象は先進諸国共通の問題であり,わが国においては中教審答申(平成14 年)に認められるように,昭和60 年ごろから子どもの体力低下傾向が現れ,現在その総合的な対策の必要性が求められている.本稿では,子どもの運動行動を支える要因について最近の研究成果を概観するとともに,その対策につながる代表的な介入研究を取り上げることで,わが国における今後の教育・研究および実践の方向性を展望する.また,幼少年期の運動との関わりへの理解を深めるため,子どもの体力の現状と推移,および体力テスト法についての動向をまとめている.先行研究の知見を踏まえると,児童期および青少年期の子どもの運動行動との関わりは,発達諸側面の急進期であるがゆえに成人期のそれ以上に複雑であるが,直面する体力低下への対策としては運動に関わる個人と環境の関連性を多層の次元から支援するアプローチが有効であると示唆される.
著者
齋藤 正人
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.45, pp.131-146, 2011

社会的要請に応じた美術系ワークショップとは,学校教育支援,地域文化貢献,そして芸術環境の提供にある,との観点から考察を始めた.子どもを中心に据えて,それら3つに共通する重要事項を引き出して見ると,教育的要素を含む造形活動があげられる.そこで,教育的要素を含んだ美術系ワークショップの事例として,筆者らが金沢21世紀美術館で行った,「ねんどやきもの劇場」の実践報告をした.その事例を基に,ワークショップ参加体験から得られる子どもの成長と教育的効果について明確にすることを試みた.補強材料としたのは,事例から見られた子どもの行動(素材を通した遊びの行為とそのプロセス)である.そこから明らかになったことは,①共同制作を通し他者への意識が働くことで,協調性や自律性が養われ,社会性を身につけて行くこと.②造形活動の中で,言語表現を伴った独自の世界観が表出され,個性として育まれて行くこと.これらを踏まえ,子どもを主役にするためのワークショップの在り方を提案することが本稿の目的である.最終的に提案したこととは,子ども本来の遊びを考え出す能力が,充分に発揮できる活動環境の創出であった.言い換えれば,他者と遊びを共有しながら,自己表現できる態度を育んで行くための「素材,時間,場所」を整えると言ったことである.このようなことが,子どもを主役にするための活動環境であるとして,ワークショップ指導者へ向けての提案とした.本稿を通観すると,美術系ワークショップの本質は,子どもの発達段階に関わりながら,複合的な人間形成を支援することにある,と提示することができる.そして,子どもの人間形成を目的とした美術系ワークショップの実践は,社会の要請に応じた美術家の仕事であり,美術領域の取り組むべき責任であることを確認することになった.
著者
平田 澄子
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.16, pp.p1-15, 1982-12
著者
太郎良 信
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.40, pp.31-41, 2006

全国連合小学校教員会の機関誌『教育報国』は1935(昭和10)年11月に創刊された.その創刊企画は,1935年5月の第12回総会で協議されたものの決定には至らず,その決定は代表委員会に委ねられ,同年6月の第17回代表委員会において決定されたものであった.その間の経緯をみると,第12回総会では当初から予定された議題ではなく追加議題として提案されたものであること,第17回代表委員会では発行が既定のこととして提案されていることなど,組織的な協議が簡略化されたままに事態が進行していることがわかる.『教育報国』創刊の推進者は,全国連合小学校教員会の役員ではないままに上沼久之丞会長の下で庶務を担当していた中澤留であった.そして『教育報国』の編集部は,主幹が役員ではないままの中澤,委員は全国連合小学校教員会の理事3 名という変則的な構成であった.『教育報国』創刊から半年後の1936年5月には,中澤が全国連合小学校教員会の会長に就任するということとなる.中澤は,会長就任後も引き続き『教育報国』の主幹の座にあった.「教育報国」は,機関誌名であるとともに,戦時下における全国連合小学校教員会の活動の旗印となっていくこととなった.
著者
中村修也
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要
巻号頁・発行日
vol.2004年度, no.38, 2004-12