- 著者
-
内田 満美子
鎌田 貢壽
- 出版者
- 北里大学
- 雑誌
- 北里医学 (ISSN:03855449)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.5, pp.357-367, 1994-10-31
- 被引用文献数
-
1
[目的]Heymann腎炎(HN)の病因抗体のIgGアイソタイプの長期経過を明らかにする。[方法]180μgのFx1Aで免疫したLewisラット36匹と対照15匹を2過ごとに採血した。第6,8,12,20,40週に腎組織を得,糸球体に沈着した病因抗体のIgGアイソタイプを単クローン抗体を用いた間接螢光抗体法(IF)で明らかにした。可溶性Fx1Aを抗原とし,二次抗体として単クローン抗体を用いた固相法RIA法で,血清中の病因抗体のアイソタイプを測定した。[結果]実験群では10週に21匹中18匹が,28週には7匹中7匹が尿蛋白異常値(≧20mg/day)を示した。6週時のIFは,実験群の8匹中7匹でIgG2a抗体がHNに一致するびまん性顆粒状沈着を呈した。IgG1抗体,IgG2b抗体は軽度びまん性〜局所部分的沈着を示し,IgG2c抗体は陰性であった。軽鎖はκ鎖のみが認められた。8〜40週のIFも同様所見であった。血清中のIgG2a抗Fx1A抗体価は8週に最高値を示し,実験群では23,202±8,744cpmと対照群の1,388±113cpmよりも有意(p<0.01)に高値であった。8週でのIgG1抗Fx1A,IgG2b抗Fx1A,IgG2c抗Fx1Aの抗体価は全て3,356cpm以下であった。[結論]HNの病因抗体の主体はIgG2a,κであり,長期経過でこれは維持された。