著者
小瀧 裕一 小檜山 篤志 安元 剛 寺田 竜太
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

記憶喪失性貝毒生産藻3種に関して、分布、毒生産特性、毒の動態を検討した。Pseudo-nitzschia multiseriesを分離したが早めに死滅し、追及は困難であった。Nitzschia navis-varingicaは南方産でわが国まで黒潮で運ばれて分布を拡大したとの仮説を構築した。同種の増殖・毒生産特性、rDNA ITS領域の塩基配列比較結果は上記仮説を支持した。同種は、ドウモイ酸とイソドウモイ酸A、Bを生産し、その組み合わせから4タイプに分けられるが、それを制御する因子は遺伝子および環境細菌の存在であった。毒生産に及ぼす細菌の影響はP. multiseriesが最も顕著であった。
著者
山森 邦夫
出版者
北里大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

フグ毒(TTX)や麻痺性貝毒(STX)は強力な神経毒であるが, ヒトにとっては無味・無臭であるといわれている. 一方カナダ産のニジマスやキョクイワナの味覚器はTTXやSTXに応答し, しかも両毒に対する応答性は両魚種が近縁であるにもかかわらず, かなり異なった. このことは, 魚類が餌料中の毒の存在を味覚によって感知可能であり, しかもその感知能力は魚種によって異なることを示唆している. そこでサケ科の3魚種, ニジマス, イワナ, ヤマメおよび海産魚, クロソイの各味覚器のTTX, STXに対する応答性を調べた. また両毒の魚毒性や両毒を含有する餌料に対するこれらの魚種の摂餌行動を調べ, 味覚との関連性を検討した. 成果は以下の通りである. 1.サケ科3魚種の味覚器はTTXに応答した. TTXに対する応答閾濃度はイワナが最も低く(10^<-7>M), ついでヤマメ, ニジマスの順であった. 上記3魚種はSTXにも応答したが, 各魚種ともTTXの場合に比較して応答は小さく, また応答閾濃度も高かった. 一方, クロソイは5x10^<-4>MのTTXに応答しなかったが, 10^<-〓>M以上のSTXに応答した. 2.サケ科3魚種ともTTX含有餌料を忌避した. 半数が忌避する餌料中のTTX濃度は, 応答閾濃度の約100倍に相当し, イワナで最も低く(10^<-5>M), ついでヤマメ, ニジマスの順であった. 一方, 上記3魚種は, 10^<-4>M以下の濃度のSTXを含む餌料を忌避しなかった. 3.経口投与時の半数致死毒量はTTXの場合は, イワナ, ヤマメでは300MU/20g前後, ニジマスでは300〜600MU/20g以上と異なり, STXの場合は, 3魚種とも150MU/20g以上であったが, 決定まで至らなかった. 4.以上から, 毒に対する味覚応答性は魚種や系統によって異なることが示唆され, また毒に対する味覚や毒に対する抵抗性と忌避行動の生ずる濃度との間に相関性のみられることが示唆された.
著者
和田 成一
出版者
北里大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

低線量放射線の細胞応答は高線量域のデータから推察されてきた。しかし、この高線量域から低線量域への外挿データでは説明のつかない現象、放射線超感受性現象が広く知られてきた。この現象のメカニズムはバイスタンダー効果と生物学的機能不全によると考えられているが詳細は明らかにされていない。本研究では、この現象を誘導する引き金は放射線による細胞膜応答であり、細胞膜応答から細胞外に細胞膜応答分子のスフィンゴミエリナーゼが分泌され、この分子によって細胞はDNA修復不全に陥るため、放射線超感受性が誘導されることを明らかにした。つまり、放射線超感受性現象は細胞膜応答によりバイスタンダー効果と生物学的機能不全が連動していることを明らかにした。
著者
中山 哲夫 柏木 保代
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

現在、わが国で使用されているワクチンをマウスに筋注し安全性を評価した。現行ワクチン製剤はかつての筋拘縮症のような筋組織の壊死、瘢痕化を起こすことはなく安全に使用できることが明らかとなった。接種部には炎症性肉芽腫が認められ接種3時間後から接種部位に炎症性サイトカイン(IL-6, IL-β, TNF-α)やIL-4, G-CSFが産生され7日後には検出できなくなる。接種部位には好中球が遊走し炎症反応を惹起し獲得免疫を誘導する。ワクチン接種後の副反応として発熱を認めた児では G-CSFが高値を示し、ワクチン接種後の免疫応答に炎症反応が重要な役割を担っていることが明らかとなった。
著者
山森 邦夫 松居 隆 河原 栄二郎 天野 勝文
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

タイ国ではカブトガニ類の卵巣を食べる習慣があり、これに伴う食中毒死事件がたまに起こる。原因毒はフグ毒(TTX)や麻痺性貝毒(PSP)などの麻痺性毒である。カブトガニ類は原始的な節足動物であり、世界には3属4種が現存している。アメリカカブトガニ、カブトガニ、ミナミカブトガニ、マルオカブトガニである。タイには後2者が生息しているが、食中毒はもっぱらマルオカブトガニによるものであり、ミナミカブトガニによる中毒例はない。そこで本研究ではマルオカブトガニの毒化機構を明らかにする研究の一部として、カブトガニ類のTTXおよびサキシトキシン(STX)に対する抵抗性を調べ、比較検討した。TTX投与時の最小致死量は、ミナミカブトガニ成体では60〜150MU/20g 体重、アメリカカブトガニ幼体では50〜100MU/20g体重のかなり高い抵抗性を示したが、マルオカブトガニ成体では約900MU/20g体重、幼体では3600MU/20g体重以上となり、前2者を大きく上回った。一方、STXに対する抵抗性はマルオカブトガニ幼体およびアメリカカブトガニ幼体のいずれにおいても100〜200MU/20g体重とかなり高いが、差はなかった。TTX結合タンパク質がクサフグの血漿からDEAEセルロース処理、硫酸アンモニウム分画、Sephad exゲル濾過,Sephacryl S-200とCellulofine A-500によるカラムクロマトグラフィーを経て精製された。TSK G-3000SLカラムを用いた高速液体クロマトグラフィーによる最終精製物は単一のタンパク質ピークを示した。そのタンパク質の分子量はSDS-PAGEおよびmass spectrometryで、それぞれ、116,000および96,000と推定された。精製されたタンパク質のアミノ末端側アミノ酸配列はAla-Pro-Ser-Pro-?-?-?-His-?-Leu-The-Lys-Pro-Val-と推定された。
著者
和泉 徹
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.251-255, 1996-10-31
著者
宝達 勉 高野 友美
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

猫伝染性腹膜炎(FIP)はイエネコおよびネコ科動物の致死性ウイルス感染症である。これまで、FIPを治療するために国内外で様々な研究が試みられてきたが、未だにFIPに対する有効な治療方法は報告されていない。FIPは飼い猫の死亡原因の第3位であり、1歳以下の幼猫では第1位の死亡原因である。従って、獣医臨床の現場では、FIP治療法の確立が望まれている。FIPはウイルス感染症であるとともに免疫介在性疾患でもある。即ち、FIPの治療には抗ウイルス薬とともに過剰な免疫応答(炎症反応)を特異的に抑える薬剤を特定する必要がある。平成29年度は平成28年度の研究に引き続き、抗FIPV薬の検討と共に、新たに同定した抗FIPV薬を猫に投与して、安全性試験を実施しつつ、FIPVの感染に対する影響を調べた。その結果、細胞内コレステロールの輸送阻害薬であるU18666Aが野外に多く存在するI型FIPVの増殖を強力に抑制することを発見した。また、実際にU18666Aを投与した猫においてFIP発症が抑制または遅延する可能性を確認した。これらの内容はFIP治療の研究において大きな進展であると考えられる。
著者
星 史雄
出版者
北里大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ネコ組織からAGPC法を用いてTotal-RNAを抽出し、Oligo-dTラテックスビーズ法を用いてmRNAを精製した後、ネコKlf4、Oct3/4、Sox2、およびAQP2遺伝子クローニングに成功した。ネコKlf4、Oct3/4、およびSox2は、pCl-neo Mammalian Vectorに挿入され、ネコ皮膚の初代線維芽細胞に導入を試みたが、iPS細胞の作出はできなかった。ネコAQP2は、pTrancer-EF-Bsdに挿入し、CrFK細胞と293細胞に導入したところ少数ではあるが、高発現GFP細胞が分離でき、有意に水分吸収量の増加がみられた。
著者
吉川 泰弘 稲葉 睦 浅井 史敏 尾崎 博 遠藤 大二 澁谷 泉 山下 和人 北川 均 新井 敏郎 高井 伸二 杉山 誠 上地 正実 鎌田 寛
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

わが国の全16獣医系大学における参加型実習に入る段階の学生の質を全国一定水準に確保することを目的とし、知識を評価するCBT (Computer-Based Testing)と技能と態度を評価するOSCE (Objective Structured Clinical Examination)の二つからなる獣医学共用試験について、CBT問題作成システム、問題精選システム、問題出題システム、評価システムを開発し、平成25年と26年に渡り、16大学を対象としてCBTトライアルを実施した。同時に、OSCE試験の態度と技能を確認する医療面接試験並びに実地試験を開発した。
著者
高橋 真理
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、妊娠期女性の夢(睡眠中にみた夢:以下夢)の特徴を定量的に明らかにするとともに、ストレスフルなイベントと関連する不快な夢に対する認知行動療法の有用性を定性的に検討することである。1)妊婦50名、非妊婦12名を対象に、prospectiveに1週間にみた夢想起の特徴(頻度、夢の鮮明度、夢の内容)について検討した。夢をみた平均日数は、4.8日/週であり、妊婦と非妊婦および妊娠時期別での相違はなかった。また、夢の内容は、「妊娠・出産・赤ちゃんに関すること」、「家族とのこと」、「仕事・職場のこと」、「友人のこと」、「TV・アイドルのこと」、「日常の出来事」、「幼い頃、昔のこと」、「奇異な出来事」のカテゴリーに分類された。さらに、「妊娠・出産・赤ちゃんに関する夢」について、妊娠時期別に夢想起の頻度を比較すると、妊娠初期では多い順に7番目のカテゴリーであるのに対し、妊娠中期は3番目、妊娠末期では2番目であり、妊娠の経過とともに、妊娠、出産、赤ちゃんに関する夢想起の頻度が高まることが示された。また、1週間で妊娠・出産・赤ちゃんに関する夢想起の経験をもつ妊婦の割合は、妊娠初期20%、中期57.1%、末期57.1%であり、中期と末期とが初期よりも高率であったが、想起者ひとりひとりの平均夢数の割合では、中期67.9%に対し末期78.6%であり、妊娠中期、末期には妊娠・出産.赤ちゃんに関する夢を想起する妊婦の割合が増え、また、このような妊婦は妊娠経過とともに妊娠・出産・赤ちゃんに関する夢の頻度も増加することが示された。2)「妊娠・出産.赤ちゃんに関する夢」31を内容別に分類した結果、「母乳に関する夢」、「妊娠による身体的変化に関する夢」、「胎児に関する夢」、「出産に関する夢」、「出産後の赤ちゃんのことに関する夢」の5つのサブカテゴリーに分類された。さらに妊娠時期別にサブカテゴリーの頻度を比較すると、妊娠初期は「胎児に関する夢」であったが、妊娠中期は「「母乳に関する夢」、「妊娠による身体的変化に関する夢」、「胎児に関する夢」、「出産に関する夢」、妊娠末期は「出産後の赤ちゃんのことに関する夢」に関する報告がほとんどを占めており、妊娠経過に伴い妊娠・出産・赤ちゃんに関する夢の内容が変化していくことが示された。以上、本報告書では妊娠期女性の夢に関する定量的な特徴を調査研究の結果に基づき記載した。事例による分析は、報告書に成果を纏めて報告する。
著者
石郷岡 純 山城 一郎 福山 嘉綱 若田部 博文 三浦 貞則
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.88-95, 1985-04-30

美容外科受診患者に対し,精神科的立場からコンサルテーション活動を行った。この結果,容姿,容貌を気にし始めた年齢は10台から20台の若年に集中しており,対象部位は顔面とくに鼻が多く,約半数が"醜形"に対する関係念慮を抱いていた。これらの特徴は,従来醜貌恐怖症で指摘されていたことだが,美容外科受診患者全体の特徴としてとらえられるものと思われた。また受診患者の男女間の心理的特性は対照的であり,これについて若干の考察を行った。さらに,醜貌恐怖症の診断について検討し,社会適応,対人関係の障害を診断基準の一項目として加えることを提言した。また,リエゾン精神医学の立場から,現在までの美容外科に対するコンサルテーション活動の反省と問題点について指摘した。
著者
衣川 秀一 中村 治雄 古和 久幸 田崎 義昭
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.363-369, 1974-12-31

Carbohydrate intolerance and hyperlipidemia have been known to be risk factors in atherosclerotic vascular disease. The present study was conducted to determine to what extent alcohol ingestion in man would cause the changes of plasma glucose and lipids in normal and atherosclerotic subjects. One hundred g of oral glucose tolerance tests, with and without 0.5g/kg alcohol ingestion 30 minutes prior to the test, were performed on each subject to measure glucose, immunoreactive insulin (IRI), free fatty acid (FFA), triglyceride, cholesterol, phospholipids and lipoprotein profile. Alcohol ingestion revealed a gradual increase of plasma TG with a concomitant increase of cholesterol in young and aged subjects. This would indicate that alcohol stimulates the release of pre-β lipoprotein from the liver. Under the present experimental conditions, alcohol failed to show glucose intolerance, but clearly increased plasma lipids. The result suggests that hyperlipidemia would be caused by alcohol ingestion and subsequently would result in atherosclerotic lesions.
著者
有田 悦子 鈴木 幸男 竹下 啓
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、医療者-患者間のコミュニケーションギャップに注目し、臨床現場での有意義なインフォームド・コンセントの実現に還元すると共に、医療スタッフや薬学部生を対象とした医療コミュニケーション能力養成のための教育プログラム構築にも寄与することを目的として「がん患者への医療者からの説明」について質的検討を行った。その結果、同じ内容の説明をしたとしても、個々の患者の治療に対する感じ方や理解度などにより受け取り方は異なり、医療者が患者の個別性を尊重する重要性が示唆された。
著者
朝野 晃
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.416-419, 1981-08-31
著者
長内 国臣 馬嶋 恒雄
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.127-138, 1977-06-30

1) During 5 years from July, 1971 through September, 1976, 204 patients of the age 15 or younger were seen at OB-GYN clinic. They are 0.75% of 27, 210 newly registered patients and are expected to increase further. 2) More frequent chief complaints were vaginal discharge (55.0%) and menstrual disorders (18.3%). The incidence of the former was the highest at the age of four and of the latter at puberty around the age of 12〜15.3) Infantile vulvovaginitis was the most popular disease, accounting for 120 cases (58.8%). The pathogens were Staphylococcus aureus in 4 cases, Streptococcus faecalis in 4, Streptococcus pyogenes in one, Candida in 5, and Gonococcus in only one. 4) Other disorders were 3 cases of synechia labialis, 2 of sexual precocity and 3 of vaginal atresia. 5) Ovarian tumor was found in four cases, one of which was embryonal carcinoma. All of them were operated upon with good results.
著者
小島 ひで子 小島 善和 林 美奈子 辻 佐恵子 内藤 茂幸 油谷 和子 児玉 美由紀 松野 時子 阿部 美和子 石下 育生
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

医療者育成システムを目指し、その基盤となる基礎教育プログラムの継続評価として、子どもに対するグリーフケアへの関心や実践への意欲は向上し、プログラムの有効性が明らかとなった。また対象者から、より実践に即したプログラムの要望があり、実践教育プログラム案を作成し、有効性を調査した。必要と考える知識は3ヶ月後も定着し、介入必要事例への関心は向上していたが、介入実践例は半数程度であり、事例検討会などの継続支援の必要性が示唆された。定期的に基礎・実践教育プログラムを継続し、事例検討会を定着していくことが、がん患者を親に持つ子どものグリーフケアを支える医療者の育成につながることが期待できる。
著者
張 斌 田辺 聡 加藤 恵美 佐々木 徹 樋口 勝彦 小泉 和三郎 西元寺 克禮 三富 弘之 田辺 由美
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.151-155, 2002-04-30
被引用文献数
1

症例は53歳女性。平成13年8月,検診にて異常を指摘され上部消化管内視鏡検査を施行。十二指腸第2部に山田IV型のポリープを認めたため当院紹介受診となった。上部消化管造影検査では十二指腸第2部に長い茎を有する表面は平滑な山田IV型のポリープを認めた。上部消化管内視鏡検査にても同様の所見を認め,平成13年12月5日ポリペクトミーを施行した。組織学的には十二指腸粘膜固有層から粘膜下層浅層にかけてBrunner腺の増生が見られた。また,粘膜下層を主体に成熟した異型のない脂肪細胞と小血管の増生がみられ,平滑筋線維も錯綜して走行していたが,平滑筋芽細胞は見られず,過誤腫と診断した。十二指腸の過誤腫は非常に稀であり,文献的考察を含めて報告する。
著者
小倉 しおり
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.467-480, 1983-12-31

従来から用いられてきた各種の血痕予備試験法は,必ずしも鋭敏度と特異性が平行しているとは限らず,むしろ表裏一体となっているようである。私は今回 MBTH 試薬を用いて,両者共に利点とする新しい血痕予備試験の開発を試みた。その結果,第1試薬としては MBTH と組み合わせた53種類の試薬の中から,2-Amino-4-chlorophenol と o-Toluidine の2種現について,発色(赤紫,紫),鋭敏度(26000倍),偽陽性数(3)といずれも優れていた。組成は第1試薬として,0.8%MBTH水溶液と同濃度の前記2種の試薬各々との等量混合から成るもので,呈色反応は第1試薬の次に第2試薬(3%HP溶液)を各々1滴滴下する2液法で,1分以内に判定した。また予備試験施行後の血痕について,本試験・種属試験および凝集素吸収試験などを行なったところ,本法の2種類の試薬についてはほとんど影響がないことが認められ,血痕予備試験の試薬として利用価値の高いものであることが証明された。