著者
白石 恵理子
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.110-117, 2006-08

青年期は、第2次性徴のような身体的変化によって特徴づけられる青年期前期と、アイデンティティや価値観の確立といった心理的な成熟を特徴とする青年期後期に大きく分けられる。本稿では、知的障害や発達障害のある青年が青年期後期にあたる18歳から20歳の時期にどのような変化を見せるのかを、3人の事例から具体的に明らかにしようとした。思春期・青年期前期は自我の再構成の時期にあたり、障害青年においてもさまざまな揺れや葛藤をみせる。青年期後期においてもそうした「行きつ戻りつ」の姿を示しつつ、新たな社会的関係のなかで、徐々に自己決定が可能になったり、自らの要求の主体になりゆく姿がいずれの事例でもみられた。ただし、その具体的なあらわれかたは、障害の程度や発達段階、さらに青年期に至るまでの生育歴・教育歴等々の複雑にからみあった要因によって、きわめて個性的であり、一面的な理解に陥らないようにしなければならない。

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