- 著者
-
初田 隆
- 出版者
- 美術科教育学会
- 雑誌
- 美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
- 巻号頁・発行日
- no.27, pp.337-349, 2006-03-31
棒人間を描くことによって人体表現と向き合うことを避ける子どもが年々増えている。棒人間という記号を意図的に操作し,利便性やかわいらしさを見出す傾向も認められるが,特に小学校低学年では抑圧された表現欲求や人とのかかわりの希薄さなどが窺える。本稿では大学生及び教員を対象としたアンケート調査,児童・生徒・学生の作品分析を通し,今日の子どもたちの描画発達の特徴と美術教育の課題を捉えようとした。考察の内容は次の通りである。(1)棒人間表現が近年増加傾向にあること。(2)棒人間表現の発生が低年齢化していること。また,棒人間が継続的に使用されていること。(3)棒人間を描く理由と使用場面。(4)現代における棒人間表現の意味と特徴。(5)棒人間表現の背景。