- 著者
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柴田 のり子
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.3, pp.197-205, 2006-03-31
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
3
2001年8月22日に台風第11号(T0111, PABUK)に伴って埼玉県羽生市で発生したスーパーセル竜巻について,空港気象ドップラーレーダーやウィンドプロファイラのデータを中心に解析を行い,親雲の発生環境・特徴と竜巻の予測可能性について調べた.ウィンドプロファイラのデータから計算した「ストームに相対的なヘリシティ」の推定値はメソサイクロンの発生との対応がよく,関東南部でのスーパーセル発生のポテンシャルを捉えていた.ドップラーレーダーは竜巻発生約45分前からメソサイクロンを観測しており,竜巻が発生したのは,高度2500m以下の大気下層でメソサイクロンの渦度がピークを過ぎて弱まりつつあるときだった.これらの情報を組み合わせることで,竜巻の発生を予測し,対象となる地域に警戒を呼びかけられる可能性がある.