著者
野崎 祐子
出版者
広島大学
雑誌
経済学研究 (ISSN:02882434)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-9, 2005-02

本稿の目的は、近年女性の高学歴化が急速に進展した日本の労働市場において、技術進歩がどのような影響を与えたかを定量的に検証することにある。具体的には、高学歴者の労働供給増加が賃金の学歴プレミアム低下を伴わない現象と技術進歩との関連を、要素間の生産関係を説明するモデルを用いて分析する。推計結果からは、高学歴労働者に変更的な技術進歩が雇用吸収力の大きいサービス業でプラスに作用し、労働需要をシフトさせたことが明らかになった。しかしその効果は製造業や運輸・通信業では高卒労働者にシフトするなど必ずしも大卒労働者に有利に働くわけではない。さらに男女で逆に作用するケースも認められた。このように技術進歩が労働市場に及ぼす影響には、産業や教育レベルのみならずジェンダーによっても異なるという重層性が存在する。

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