著者
丹羽 正和
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.6, pp.371-389, 2006-06-15
被引用文献数
3

岐阜県高山地域に分布する美濃帯中期ジュラ紀付加体小八賀川コンプレックスは,チャート,石灰岩および苦鉄質火山岩類といった海洋性岩石のスラブが卓越することで特徴付けられる.小八賀川コンプレックスは,岩相,産状および変形構造から,ペルム紀の海山を主な起源とし,岩相境界に著しい破砕を伴う変形構造が発達する部分と,ペルム紀〜前期ジュラ紀の海洋底岩石を主な基盤とする海洋プレート層序の構成岩石がスラストで繰り返す覆瓦構造をなす部分とに認識できる.スラストは砥石型珪質粘土岩と苦鉄質火山岩類の一部に特徴的に発達する.スラストが示す運動方向は,東北東-西南西〜北東-南西走向・高角北傾斜の構造性面構造に対し,右横ずれ成分の卓越するtop-to-the-eastの方向の努断を示す.これは,美濃帯後期ジュラ紀〜前期白亜紀付加体のメランジュの剪断変形組織およびスラストが示す運動方向とは異なる.

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編集者: Tiyoringo
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