著者
野津 哲子
出版者
島根県立大学短期大学部
雑誌
島根女子短期大学紀要 (ISSN:02889226)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.21-31, 1984-03-31

本学学生262名を対象とする衣服に関する実態調査を行った。その結果をまとめると次のようである。1)本学学生の被服内容の主なものは,ブラウス,Tシャツ,スカートで1人当り平均所持量5枚以上を占めている。次いでワンピース,ズボン類,ブレザーが主なものである。従って学生は日常着としてブラウスとスカート,またはズボン類などのツーピース形式の軽快な服装をしていることが推察できた。1人当りの最高所持量の数値の高い服種は,夏物,冬合物ともブラウス(夏物15枚,冬合物22枚),Tシャツ(夏物21枚,冬合物12枚),スカート(夏物15枚,冬合物25枚)で最低所持量は夏物のブラウス,Tシャツが各々1枚,他の服種は夏物,冬合物とも0枚であった。従って最高と最低の開差が非常に大きかった。2)調製経路を全体的にみると既製の利用が最も多く94.0%を占め,次いで自家製5.1%,注文0.9%の順であった。学生の衣生活における既製服の利用度は高く,それに依存する割合が大きくなっていることが把握できた。3)購入場所は百貨店が高率を占め39%,次いで洋品店32%,専門店29%の順であった。各服種の用途によって購入場所が区別されており,日常着は百貨店で,外出着やフォーマルウェアは専門店で購入されていることがわかった。4)所持服全体における柄の中では無地が最も多く用いられ約62%を占めている。用途別にみると外出着,フォーマルウェアとして着用される服種は,無地の占める割合が大きく,日常着として着用される服種は着用嗜好が多く入るため柄物の占める割合が高くなっている。今回の調査は短大生という,ごく限られた年齢層であっただけに他の年齢層との比較ができなかった。しかし専攻別,学年別の違いなど興味ある傾向を知ることができた。学生の既製服購入態度は比較的合理性に富み,常識的に選別していると思われた。反面各服種とも購入時の経済的意識が極めて低い点もうかがえた。これは経済面で親に依存していることが大きな要因であろうと思われる。被服教育担当者としては,以上の実態を考慮し広い分野における被服教育ことに将来の衣生活設計にあわせた,衣生活の立案実行,基礎技術の必要性など実態を通して認識することができた。本研究にあたり,調査にご協力いただいた本学学生に,あつくお礼申し上げます。

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