著者
川又 新一郎
出版者
拓殖大学
雑誌
拓殖大学論集. 政治・経済・法律研究 (ISSN:13446630)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-30, 2006-03-31
被引用文献数
1

租税は公共部門の支出を賄うと同時に、すべての社会構成員の経済行動を変化させる強力な政策手段である。後者の面から、改めて租税のあり方(租税原則)に関して考える。租税原則は結局、効率性、公平性に集約できる。現実の制度としては簡素も重要である。これらの租税原則の間にあると言われる矛盾trade offの関係は必ずしも重要でない。しかし、現実には、租税制度はこれらの租税原則の名の下に、政治的意思決定過程により決まり、租税原則とはかけ離れたものとなる。最後に、公平性に関して、職業に基づく所得税負担の差(クロヨン)の推計を試みる。所得再分配効果を持つ多くの政策は所得税負担を基準とし、また、財政支出面でも少数者の利益を重視する政策があるため、その負担の差は増幅される。今後、公共部門の支出増加が見込まれるが、支出の効率化、負担の増加いずれを選択するにせよ、改めて租税原則の観点から個別の租税を評価する必要がある。

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