著者
三代川 正秀
出版者
拓殖大学
雑誌
拓殖大学経営経理研究 (ISSN:13490281)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.111-135, 2004-03-31

技術はそれが発明・考案されたからといって、すぐに社会環境に順応するものではなく、技術転移のために環境との(技術的)対話が長らく行われて定着する。本稿は筆算技術と算板技術の相違から洋式簿記と和式簿記の思考方法を分析して、家計簿記が如何にして現在の計式を採用するように至ったかを探るものである。なお、本稿は拙著『日本家計簿記史』に記述した後閑菊野・佐方鎮らに始める多桁式現金出納簿構築にかかわる私見の訂正と彼らの再評価を行うものである。
著者
丸山 正博
出版者
拓殖大学
雑誌
拓殖大学経営経理研究 (ISSN:13490281)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.77-91, 2007-03-25

書籍販売は市場全体では縮小傾向にあるが,ネット通販市場は拡大している。そこで(1)多品種小ロット生産などの商品特性,(2)再販制度といわゆる委託販売制度による取引システム,(3)大手取次のチャネル支配という流通システム,という書籍の流通構造を踏まえた上で,版元と書店が事業性の改善のために採りうる対応策を考察する。そして版元にとってはオンデマンド出版やデジタル書籍の積極的な導入,中小取次との取引や書店との直接取引の積極化,再販制度の不採用か少なくとも時限再販制度への移行が有効な施策であり,書店にとっては販売規模に応じた品揃えの主体的な選択と絞り込み,これを可能にするための返品を前提としない買切制度と,再販制度に代わる時限再販制度の積極的採用が有効な施策であると指摘した。
著者
細野 徳治
出版者
拓殖大学
雑誌
拓殖大学百年史研究 (ISSN:13448781)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.191-218, 2003-06-30
著者
土屋 桂 堀田 国元
出版者
拓殖大学
雑誌
拓殖大学理工学研究報告 (ISSN:09198253)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.21-30, 2004-10-20

The chemical properties of the acidic electrolyzed water were reviewed in their possible role as a bactericidal factor. In connection with this, chemical substance structure, chemical reaction, oxidation-reduction potential (ORP), Nernst's equation, pH, Pourbaix diagram and available chlorine concentration (ACC) necessary for understanding the chemical properties were outlined. Based on the results of the bactericidal tests against Bacillus subtilis, the following concluding remarks on the bactericidal activity of the acidic electrolyzed water were obtained. 1) Bactericidal activity is mainly dependent on available chlorine in the form of HClO and Cl_2. 2) At ordinery pH, H^+ has no direct contribution to the bactericidal activity at ordinary pH except for its effect on the ratio of HClO and ClO^-. 3) ORP has no direct role to the bactericidal activity. 4) Radicals are not contributive as the original basis for the bactericidal effect.
著者
川勝 平太
出版者
拓殖大学
雑誌
国際開発研究
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.9-20, 1999-12
著者
小原 博
出版者
拓殖大学
雑誌
経営経理研究 (ISSN:02878836)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.1-18, 2003-02-15

歌舞伎十八番のうち「外郎売」は,「ういろう」を売りさばきながら,仇討ち相手を探すという筋立てで,セリフの中に,商品名,商品の効能を分かり易くしたコピーを仕込んでいる。ういろうは当初万能薬として、またその後に和菓子名ともなって,広汎に普及したが,その名称について,ブランド資産保護の立場から,最近になって裁判になった。しかし誰もが知っている菓子の名,いわば普通名詞と常識的に認知されている現状で,固有名詞であると主張をした原告は敗訴した。ういろう(外郎)を課題とした時,ブランド管理はどうあるべきなのか,また,裁判事例からは「庇を貸して母屋を取られた」のか,「マーケティングに秀でたものが勝った」のか,興味ある関係がみられる。
著者
幹 康
出版者
拓殖大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

ガラスを爪などで引っ掻いたときに発生する背筋がゾッとするような音,これを「生理的不快音」と呼び,この種の音の物理的特性を明らかにすべく,この音の解析,合成を試みた.まず,この種の音が摩擦振動によって発生することに着目し,摩擦振動系の物理モデルを構成し,その運動方程式の解を求めた.これを記述するいくつかのパラメータ(物体間の摩擦係数,引っ張り速度等)を変化させることにより,モデルの挙動が変化することを確認した.特に,その変化は,不連続的に起こり,その境界領域ではカオス的な挙動を示すことも明らかになった.さらに,上記パラメータに一定の乱数を注入することによって,より現実的な音の合成が可能となることを確認した.不快音の本質ともいえるスティック・スリップの不規則性はこの乱数の与え方に依存するものであり,これが不快音合成の鍵となると思われる.1秒間程度の解を求め,スティック・スリップの変動を確認すると共に,聴感上の印象も確認した.この解はインパルス列として与えられるが,最終段階として,ガラス板自体のインパルス応答を別途採取し,それを畳み込むことによってガラス板に対する摩擦振動音の合成を試みた.現段階では,ガラス板のインパルス応答を採取する環境と方法に問題が残されており,必ずしも満足いくデータが得られていない.ガラスのインパルス応答は単に音の色付けを行なっているだけなのか,あるいは,その時間的変化等に不快性をもたらす要因が含まれているのかどうかを含め,問題が残されている.
著者
中村 綱雄
出版者
拓殖大学
雑誌
経営経理研究 (ISSN:02878836)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.121-154, 2000-03-30

日本に開国を要求したのが旧世界の外交に批判的であった米国であったということも幸いし, 日本は幕末から明治にかけての内政改革を成功させることができた。日米両国はやがて通商面で深い関係を築く。条約改正交渉も米国は他国に比べ好意的であった。日清戦争後, 政治面では両国間には若干の波風が立つが, 第一次大戦後はワシントン体制の協調的関係に戻る。この間, 経済面では両国は通商・資本関係において緊密度を深める。満州事変以後は米国の対日貿易政策は厳しいものとなるが, 経済制裁に踏み切るのは1940年以後となる。そして日本は戦後再び米国による「開国」要求を受けることになる。