著者
館田 晶子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.87-107, 2005-03-15

本稿は、フランスにおいて外国人に認められる憲法上の権利のひとつである「通常の家族生活を営む権利」について、家族の再結合を中心に検討を加えるものである。フランスの憲法院は、1993年に移民法を審査した判決の中で、外国人に認められるいくつかの権利を憲法上の権利であると認定した。その中のひとつである「通常の家族生活を営む権利」は、従来からコンセイユ・デタなどでその権利性は認められていたものの、憲法院判決によって初めて権利が「憲法化」されたものである。これは外国人の私的および家族的生活を尊重すべきことを内容とするものであり、それを具体化する制度のひとつとして、「家族の再結合」が出入国管理法制に定められている。「家族の再結合」による入国および滞在は、その要件が緩和されることになるが、ただし、重婚の家族の場合などフランスの公の秩序に合致しないような家族形態の場合には入国および滞在が制限されることも、憲法院判決により認められるところとなった。また、不法入国のもととなる偽装結婚を排除するために、婚姻後一定期間の滞在資格取得を制限するなど、婚姻に対しても若干の制約が課されている。このような憲法院および行政の態度に対しては、公の秩序の維持を根拠に外国人の個人的権利を制限することの正当性が問題とされている。移民の受入国への統合という観点から、入国・滞在法制において個人の私生活を尊重することは、大きな意味を持つであろう。

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こんな論文どうですか? フランスにおける「通常の家族生活を営む権利」と家族の再結合(館田 晶子),2005 https://t.co/on4IYwKk9j 本稿は、フランスにおいて外国人に認められる憲法上の権利のひとつである「通常の家族生活を営む権…
こんな論文どうですか? フランスにおける「通常の家族生活を営む権利」と家族の再結合(館田 晶子),2005 https://t.co/on4IYwKk9j

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