- 著者
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徳永 英幸
- 出版者
- 今治明徳短期大学
- 雑誌
- 今治明徳短期大学研究紀要 (ISSN:09100946)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, pp.55-68, 2006-03
カブトエビは、そのしぐさが田んぼで草取りをしている人の格好によく似ているところから「田の草取り虫」と呼ばれている。事実、実際に雑草を抜いてくれている。そこで、カブトエビによる水田雑草の生物的防除を目指すための基礎調査として、圃場での発生状況、発生の継続性及びその圃場中での微生物相への影響を調べた。まず、カブトエビの発生に関する結果は、圃場区間での発生に差が現れた。しかも、それら圃場区内それぞれでの発生の変動は区域により異なることが示された。このことから、各圃場区内でのカブトエビ発生もしくは未発生の継続性は、ある程度安定したものであると推察される。しかし、全圃場区を通しては、その発生は明らかに減少している。次に、カブトエビ発生の有無による土壌微生物の変化は、単年度的にはその存在が土壌微生物数の増強を導くことを認めた。しかし、コロイダルキチン培地での好気性細菌数だけは、逆に減少することが分かった。更に、この細菌数が示す傾向は、カブトエビの継続発生圃場でより鮮明に現れてきた。その結果、カブトエビの継続発生圃場にキチン質を介した土壌微生物相の相関が形成されてきたものと思考される。