著者
飯田 晴美
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
群馬県立県民健康科学大学紀要 (ISSN:18810691)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-34, 2006-03

目的:在宅酸素療法中の慢性呼吸不全患者が体験するスピリチュアルペインを明らかにし,その特徴を考察する.方法:在宅酸素療法中の慢性呼吸不全患者9名を対象に半構成的面接を施行した.次に,回答内容を文字化して逐語記録に書き起こし,その要約をデータとして内容分析を行い,カテゴリ化した.結果:在宅酸素療法中の慢性呼吸不全患者が体験するスピリチュアルペインが,【闘病経過の見通しのなさと不測の事態が起こり得る不安による自己信頼感の喪失】【消極的な未来予測による希望や生きがいの喪失】【疾病や治療に伴う社会的役割喪失・他者依存・自尊心低下による自己の存在価値と生きる意味の虚無】【酸素療法による自由喪失感と生活行動遂行上の自立性の低下に伴う身体コントロール感の欠如】【自己に生じた疾病・治療に伴う苦難の意味や理由の追求】【生に対する主体性の実感困難】【死の実感と死に対する不安・恐怖】【苦しみの生からの逃避念慮と生き続けなければならない苦悶】の8カテゴリで表わされることを明らかにした.また,【消極的な未来予測による希望や生きがいの喪失】【酸素療法による自由喪失感と生活行動遂行上の自立性の低下に伴う身体コントロール感の欠如】【生に対する主体性の実感困難】【苦しみの生からの逃避念慮と生き続けなければならない苦悶】が,在宅酸素療法中の慢性呼吸不全患者において特徴的なスピリチュアルペインであることを示唆した.結論:本研究結果は,在宅酸素療法中の慢性呼吸不全患者が体験するスピリチュアルペインの詳細を示し,これに対するスピリチュアルケアの必要性を示唆した.

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