- 著者
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高橋 健
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:02873850)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, pp.49-81, 2005-03-31
日本列島の先史時代の銛頭については,日本列島全体を視野に入れた伝播系統論の枠組みが提示されている。しかし,遠く隔たった地域間の系統関係が論じられる一方で,資料的な制約もあり地域的な編年研究はあまり行われてこなかった。本稿では,比較的多くの資料が得られている福島県いわき地方と神奈川県三浦半島を対象として閉窩式銛頭の編年的研究を行った。いわき地方の資料を寺脇型・真石型・薄磯型に分類し,寺脇型を真石型の大部分よりも古く位置づけ,真石型内部での変遷過程を示した。薄磯型の出現過程については,技術的共通性を有しながらも独自性を保っていた仙台湾・三陸地方との関係が変化し,その影響を受けて成立したと考えた。三浦半島の資料を三浦型と呼称し,弥生時代中期後半に尖頭で単距・双拒の銛頭が現れ,後期に入ると刃溝をもつ銛頭や三距の銛頭が出現するという編年案を示した。弥生文化と続縄文文化における横方向索孔をもつ銛頭についてほ,その出現過程が各地域で多様であることから,必ずしも一つの中心地から広域への強力な,あるいは玉突き状の伝播によるものと解釈する必要はないと考えられる。