著者
児玉 英靖 張 或〓 相澤 真一 居郷 至伸 大滝 世津子
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.175-195, 2007-03-10

This paper examines the Japanese concept of gemba from the angle of sociology of knowledge. The concept of gemba has been widely used in Japanese schools, factories and offices, which can be literally translated to "the real scene" in English. However, the term gemba often suggests a sense of distinction between "we as powerless workers who know better about the situation" and "they as management or outsiders who do not know what really happens in the scene." Without referring to the social actors who use this concept under specified situation, it is very difficult to pinpoint down exactly what kinds of matter belongs to in a particular gemba. Delineating how this concept was actually used in different social settings, like high school, kindergarten and convenience stores, it suggests that, on the one hand, the concept's intension and the contents it connotes are often ambiguous, on the other hand, its extension often denotes a well-defined and clear boundary of what should be included within a particular gemba. The article thus discusses how the use of this concept may actually relate to group dynamics and thus it may reveal the power structure in contemporary Japanese society.
著者
柳井 郁子
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.107-115, 2002-02-25

This paper investigates a movement to improve people's daily life in a company and how the company tried to control labor's family. In Japan after the World War II family lost an original function of character building, and the family which was interested in scholastic ability and going on to the next stage of education increased. To make clear the change of the family, this paper analyzes the family of labor in the company in 1950s'-1960s'when the number of them increased. In the movement the company guided labor's family in family planning and life planning, and managed labor's family and wife. The model of the family was based on sexual division of labor, and the labor's wife was required to contribute to the company and society by reproduction of the work force.
著者
三浦 瑠麗
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2014-01-29)

本研究課題は多国籍企業の展開を通じた人々の意識の変化、そしてそれが国際関係にもたらす長期的な影響の仮説を理論的に構築し、部分的に実証することであった。そこで、昨年度は初年度の理論化の作業に続いて中国発多国籍企業のイギリスにおける進出の政治的余波とそれへの対応を調査し、先進国市場に進出したアジア発多国籍企業が直面する課題とそれへの対応が確実になされていることを確認した。また、経済的相互依存による平和仮説、いわゆるコマーシャル・ピースの例外とされる東アジア(いわゆる東アジアパラドックス)において、日中韓につきN=各2000での対外意識調査を設計し同時に実施した。それを分析した結果、人々の対外認識がビジネスの性質によって大きく異なることを実証した。一般的には東アジアでは歴史問題の存在によって厳しい政府間の対立があり、また攻撃的な世論の存在がその政府の対立姿勢を支えているとされる。しかし、東アジアパラドックスの存在を指摘しただけでは、コマーシャル・ピースのメカニズムが実際に存在しているのか、それとも存在していないのか(政治と経済は別なのか)は定かではない。したがって、本研究ではコマーシャル・ピースが機能するための段階論を定義した上で、日中、日韓の貿易構造や国内政治経済構造を分析の射程に含め、どのようにコマーシャル・ピースが十分に作用しなくなっている状態なのかを解析した。この研究成果は東京大学政策ビジョン研究センターの主催した日米中韓を主な参加者とする国際会議において発表し、高い評価を受けた。また、時事通信社のE-Worldにも短い論考ではあるが日中両国民間にしぼった分析を寄稿した。引き続き研究成果を還元するため成果を様々な媒体に公表していきたい。
著者
西島 央
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.57-76, 2004-03-10

In Japan, what sort of people attend classical music concerts? It has been said that the classical music is an orthodox current of culture from the West, which was set up alongside the establishment of the modern educational system in Japan. Recently, however, the number of classes of music and other arts related subjects has been reduced as a result of the new national curriculum. In addition, the development of the Internet has provided a dramatic increase in terms of alternative access points to music. These are resulting in a dramatic change of music culture. Under these conditions, is it probable to think that attitudes towards classical music concerts might be in a process of change? The purpose of this paper is to illustrate the current conditions in relation to classical music concerts attendance from a sociological perspective. Methodologically, the paper draws upon evidence garnered from a questionnaire survey conducted at classical music concerts in Tokyo, Niigata and Kagoshima, between April and August 2002. To date, there have been few studies to investigate the sociological profile and associated behaviour related to classical music concert attendees, except the index of a stratum research. In this research, I will make use of sociological description of attendance, exploring the issue of regional difference. Subsequently I will analyze attendee's first experiences vis-a-vis the concert. Finally I will specify the features of attendance in relation to those classified as "Jouren" i. e. regular goers and those labeled "Ichigen" i. e first-timers. I will analyse the differences between them in light of a number of sociological indicators and their musical experiences during their formal education. As a kind of pilot study, I will propose a research framework that could provide a signpost for future research exploration.
著者
三浦 瑠麗
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

これまで「攻撃的な戦争」の多くが軍の責任に帰されたのに対し、シビリアンは多くの攻撃的な戦争を引き起こしてきた。軍がシビリアンの推進する好戦的な戦争に反対したケースさえ数多く指摘できる。同様に、リベラリズムの議論は権威主義体制、全体主義体制やミリタリズムの国が攻撃的な戦争を引き起こしがちだと考えてきたが、実は安定したデモクラシーによって数多くの攻撃的な戦争が引き起こされてきたのである。本研究はデモクラシーにおける「シビリアンの戦争」というこれまで見過ごされてきたテーマの研究であり、リアリストの理論では説明できない開戦判断や敵意の説明、安保政策研究者が勝敗にのみ注目してきた戦争の開戦判断に纏わる説明を提供し、リベラリストが分析してこなかったデモクラシー下のシビリアンの戦争の理論化を試みた。事例としてアメリカ、イギリス、イスラエルの先進民主主義国を比較分析することにより、先進民主主義国特有の現代的な問題、軍の反対する「シビリアンの戦争」を指摘し得た。シビリアンの攻撃的な戦争は個別の歴史研究で明らかにされてきたし、人々は同時代の好戦的なシビリアンの存在をみとめてきた。しかし、個別の戦争の説明は特定の指導者の資質や好戦性など属人的な議論に流れがちであった。本研究は構造的な要因を説明し、デモクラシー下のシビリアンが攻撃的な戦争、不必要な戦争を望んだ時には、民主的な制度や理念による戦争の防止は期待できず、対照的な軍の消極性を考えれば、シビリアン・コントロールもまた攻撃的な戦争を防止するための解ではないことを解き明かした。このように、本研究は伝統的政軍関係理論とは異なる政治と軍事の関係の研究分野を切り拓くことができたのである。本研究はわたくしの博士論文として東京大学に提出するため、執筆の最終段階である。
著者
大和 裕幸 松本 三和夫 小野塚 知二 安達 裕之 橋本 毅彦 鈴木 淳
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

東大総長・海軍技術中将 平賀譲氏の残された40,000点にのぼる資料をディジタル化して公開準備をおこなってきた。本研究ではディジタル化を完了し、東大附属図書館のディジタルライブラリーで公開すること、さらに東京大学などで平賀譲展を開催し、成果を一般に広め、さらにその図録をまとめることにした。その結果、(1)平賀譲文書のディジタルアーカイブを東大図書館に開設した。URLは以下のようである。http://rarebook.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/hiraga/ (2)平賀譲展-高生から東大総長まで-を東京大学駒場キャンパスで平成20年3月から5月にかけて開催し、あわせて講演会も行った。来場者は2,000名を超えた。また、呉市海事歴史科学館で開催された「平賀譲展」にも本研究での成果を反映して協力した。 (3)図録「平賀譲 名軍艦デザイナーの足跡をたどる」を文藝春秋社から刊行した。平賀譲の資料が多くの研究者の目に触れることが出来るようになったが、その意義は大きい。共同研究者は、経済史、社会学、日本史、技術史、造船史、工学と多方面にわたっており、様々な見地から新しい資料に取り組み、今後の研究のポイントと手法について検討する。具体的なテーマとしては、(1)軍艦建造の過程(計画から訓令・進水・竣工まで)から見た設計学への寄与、(2)イギリス製軍艦の建造報告を主とした艦船技術導入・移転の分析、(3)軍艦建造予算(材料費・工費)の推移をめぐる研究の進展、(4)平賀の講義ノートの復刻・解析、などがあげられた。また今後の課題として、(1)書誌情報の追加作業、(2)ポータルサイトの検討とインプリメンテーション、(3)講義ノートのディジタル化、(4)個別研究テーマの検討などが考えられる。

16 0 0 0 OA 本邦大地震概説

著者
大森 房吉
出版者
東京大学
雑誌
震災豫防調査會報告
巻号頁・発行日
vol.68, pp.i-"180-1", 1913-03-31

付録30頁
著者
牟田 和恵
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.97-116, 2006-03-28

日本における家族の歴史社会学研究の蓄積について,とくに隣接領域である家族社会学との関連においてレビューする.その際,80年代以降に若手フェミニスト研究者たちを中心的担い手として展開した「近代家族」論に注目し,それが,家族をめぐる学問領域においてもっていた意味と意義を確認する.その上で,ポストモダン・フェミニズムを経た新たなジェンダー概念の導入により,「ジェンダー家族」という概念を提起し,日本近代の天皇制と家族に関する分析を行なう.結論として,家族の歴史社会学的研究を現代に生かしていく方途を提言する.
著者
平田 恵子 山崎 由希子
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.162-190, 2006-01-31

国際規範に関する分析は概して,システムレベルの規範の普及に着目している.本稿では,そのような分析はネオリアリズム,新自由主義制度派,構造主義などに根ざしており,主に二つの問題があると主張する.一つは,それらの分析が普及に成功した規範の実例に多大な関心を払っているのに対し,失敗したものについては見過ごしていることである.もう一つの問題はそれらの分析が,規範の普及する過程において国際規範と国内構造がどのように関連しているかを検証できていないことである.この関連を見過ごすことにより,システムレベルの研究は国際規範が国内の領域に広がる具体的なメカニズムとプロセスを明らかにできないでいる.本稿は国内構造(特に文化・政治的構造)が国内レベルにおける国際規範の普及を可能にする主要要素であると主張する.日本における反捕鯨規範の受け入れ拒否を分析するにあたり本稿は,このような国内構造が反捕鯨規範の出現や受け入れを阻むフィルターとして機能していると論じるものである.
著者
大滝 世津子
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.131-144, 2007-03-10

Focusing on two classes of as well as their teachers of three-year-old children as well as their teachers in a kindergarten, this research, which was held between April to October 2005, investigates how gender consciousness among children are related to their social relationships with teachers are peer groups. The research finds out that a majority of the children did not have any gender identity before entering the kindergarten, and there is no clear evidence to show that sex or date of birth are related to the time when children identity their gender. However, before entering the summer vacation at July, most of the children already have clear gender consciousness. The research then shows that children will recognize their gender identity earlier if they prefer playing within a group and communicating more with teachers. On the contrary, for those children who prefer to play alone or to keep a distance from teachers, they will identity their gender later. In addition, for those children who always stick to teacher but prefer to play alone, they still have earlier gender consciousness.
著者
石丸 径一郎
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.283-290, 2002-02-25
被引用文献数
1 or 0

Studies on identity and adjustment of minority group members exist independently in each minority group. The author tries to integrate studies on various minority groups in the viewpoint of identity development. An integrated model of minority group identity development is proposed on the basis of studies from three fields (ethnic minority, sexual minority, visual impairment). From this integrated viewpoint, many minority group members can benefit from preceding studies of other fields.
著者
八田 達夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997 (Released:1997-04-01)

この研究の目的は、通勤の時間コスト、通勤混雑による疲労コストを別々に金銭換算することにある。まず、通勤電車の混雑度の増大が疲労度の増大をもたらすことを効用関数に組み入れたMills型の都市モデルを構築した。次に、この都市モデル全体を解き、家賃及び地価関数の理論式を誘導型として導出した。この理論式では、家賃が都心からの距離と混雑度との関数となっている。この理論式を用いて2つの実証研究を行った。第1に、家賃関数を中央線沿線住宅地のデータに当てはめて、家賃と距離と混雑度との関数を導き、それを基に効用関数の混雑度に関するパラメーターを推定した。その際、中央線各駅間で混雑度が異なっていることを利用した。パラメータの推定結果を用いて通勤混雑の疲労コストおよび時間コストを算出した。第2に、混雑率の異なる東京の複数の私鉄およびJR路線沿線の各駅から、都心に通勤する際に要する時間と疲労のコストを測定し、金銭換算した。各路線間の混雑率の違いが大きいために、中央線のみのデータを用いた場合よりも、各地点の家賃と混雑率の関係をうまく説明することができた。中央線のみのデータでは、決定係数が0.5段階であったのに対して、複数路線の場合、0.85と高い値を得ることが出来た。この分析を基に、時間と疲労に関する効用関数のパラメータを推定し、それを用いて通勤疲労度、および通勤時間の金銭換算を行った。例えば、新宿までの通勤時間が30分である向が丘遊園では、片道の疲労費用が376円で、時間費用が322円であることが明らかになった。論文は、学術雑誌に投稿中である。さらに、1999年度応用地域学会全国大会で発表し、2000年の日本経済学会春期大会で発表する予定である。
著者
湯地 晃一郎 中田 はる佳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28 (Released:2011-08-05)

日本のHPVワクチン公費助成施策は、諸外国と比べ短期間で決定された。政策決定過程に影響を与えた因子について、国内の新聞・ウェブページ報道記事から関連キーワードを抽出解析した。キーワードの出現数は2010年に2峰性のピークを認め、肯定的なキーワードは新聞記事に多く、ウェブページ掲載記事では少なかった。接種推進運動と肯定的報道記事が、公費助成施策に大きな影響を与えたことが示唆された。
著者
ヒル ピーター (訳)橋本 陽子
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.186-209, 2005-02-07

本論は,1989年に「昭和」という時代が終ったあとに生じた,ヤクザ(暴力団)の企業活動の発展を探るものである.平成以降,ヤクザは,彼らの経済環境に大きな影響をあたえた二つの出来事と格闘してきた.その出来事とは,バブル経済の崩壊と1992年の暴対法(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」)の施行である.バブル崩壊以後の経済不況のもとで,ヤクザは金になる事業を奪われたが,その分他の手段で補った.暴対法は,合法とされたヤクザの行為に新しい規制を加えたため,従来の行為による事業は高くつくことになったが,団員たちは新しい収入源の開拓に向うようになった.とりわけ,バブル経済と暴対法のダブルパンチヘの対応として増えたのが,覚せい剤取引や窃盗団であった.本論は,経済的な困難が長引くと,これまで彼らの世界を安定させてきた組織内あるいは組織間のメカニズムが弱体化するであろうという結論を導く.